雷鳴と稲妻を神格化したもの。かみなりを起こす神。鬼に似た姿をして虎(とら)の皮のふんどしをしめ、輪形に連ねた太鼓を負い、手にばちを持つとされる。
雷帝 らいてい
ライ・ドッグ
ラーヴァナ
ラウェルナ
古代ローマの女神で、その名にちなみポルタ・ラウェルナリスと呼ばれたローマの門の近くに祭壇を有した。元来はおそらく地下界に属する存在であったと思われるが、暗黒界との結びつきから夜に悪事を働く盗人や詐欺師達の守護者とみなされるようになり、ラテン文学には専らこの資格で登場する。
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ラヴェンナ・モンスター
中世にイタリアやフランス、ドイツなどにおいて、ラヴェンナ(北イタリアの都市)にいるとされた怪物。頭と胴体は人間のものだが腕のあるべき部分にコウモリか猛禽類の翼がついており、下半身は一本足で魚のような鱗に覆われ、鳥のような鉤爪のついた足がある。また膝ほどの高さに目がついている。二本足で片方は人間の足がついている場合もあるがいずれにしてもやはり膝部分に目がついている。このラヴェンナ・モンスターの記述が始めて見えるのはヤコブ・ルーフの「人の起源と系譜(De Conceptu et Generatione Hominis)」という1554年に出版された書物である。
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ラウクマーテ
ラウファカナア
トンガ諸島に属するアタ島にいるという風と航海の神。天空神タマポウリアラマフォアにアタ島の支配者に任ぜられ、人間の求めに応じて航海のための良い風を送ってくれるという。トンガ島の船乗りは公開の無事を願う際、アタ島を訪れて彼の好物とされるココナツ油で調理したパンを備えるという供えるという。
アタ島にラウファカナアがいるのは、アタ島が天から落ちた石によってできた特別な島とされるからで、この島にバナナの木を植えたのはラウファカナアだという。また魚を捕る網を作ったのもラウファカナアだとされている。
ラウマ
ラウム
17世紀の魔術書(グリモア)の「レメゲトン」の第一部「ゴエティア」に記されるソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。「ライム(Raim,Raym)」とも呼ばれる。召喚者の前に黒い鳥ないしカラスの姿で現われるとされ、男女を結びつける力、敵対する者達を和解させる力を持ち盗んできた黄金や未来の知識を召還者に授けるとされる。またラウムの職務は町を破壊し人間の尊厳を貶めることにあるとされる。それに応じた破壊の力や人間の地位や名声を失墜させる力も持っている。コラン・ド・プランシー著「地獄の辞典」には人、猫、毒蛇の3つの頭を持つ鳥の姿で現われる、30の軍団を率いる冥界の大伯爵であると記されている。
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ラウメ
ラウラアチ
ラウル
ラガナ
ラカニエル
ラキエル
蠃魚 らぎょ
ラグイル
ラ・グエスティア
ラグエル
キリスト教・ユダヤ教における天使の一。御前の七天使の候補の一人。「ラグイル(Raguil)」、「ルファエル(Rufael)」、「スリアン(Suryan)」、「アクラシエル(Akrasiel)」などの別名を持っている。名前は「神の友」を意味し、「神は我が光」、「地球の天使」、「光の世界に復讐する者」などの称号を持っており、天使が堕天使にならないように監視する天使だと考えられている。旧約聖書偽典「第2エノク書(スラブ語エノク書)」においては「ラスイル(Rasuil)」の名でセミルないしアナフィエルとともにエノクを(肉体を有した状態のままで)天上へと運んだ天使とされている。
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ラークシャサ
ラークシャシー
ラクシュミ
洛神 らくしん
雒嬪 らくひん
ラクリマコルプス・ディッソルウェンス
羅睺 らご
羅睺曜 らごよう
仏教における九曜の一尊。日食や月食を起こす架空の天体のことで、サンスクリットでは「ラーフ(Rāhu)」と称する。漢訳では羅睺曜のほか「羅睺(らご)」、「羅護(らご)」、「羅睺星(らごしょう)」、「黄幡星(おうばんしょう)」、「蝕神頭(しょくじんとう)」、「太陽首(たいようしゅ)」などの名で呼ばれる。北東を司るとされるが星曼荼羅では反対の南西に配されることが多い。胎蔵界曼荼羅での像容は雲中に忿怒面と両手が浮かんだ姿、あるいは火髪三面忿怒相で頭頂から蛇の首が立ち、胸から下が雲中に没した姿。
種子は「रा(rā)」、「र(ra)」、真言は「唵羅戸曩阿素羅邏惹野塞摩捨都曩野扇底迦里娑嚩賀(おんらしのうあしららじゃやそましゃしやのうせんけきゃりそわか)」、三昧耶形は宮形。
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ラザニル
ラーシ
ラシェー
ラジエル
キリスト教・ユダヤ教における天使の一人。名前は「神は私の喜び」ないし「神の秘密」、「秘儀の天使」を意味する。「ラツィエル(Ratziel)」や「サラクアエル(Saraqael)」はラジエルの別称とされる。またラグエルの別名「アクラシエル(Akrasiel)」やサリエルの別名「スリエル(Suriel)」もラジエルの別名とされることもある。また「ガリズル(Gallizur)」もラジエルの別名とされることがある。御前の七天使のうち、特定されていない3人の候補の一人。天界と地上における全ての秘密を知っているとされ、それを1500項目に渡ってまとめた書物「セファー・ラジエル(Sefar Raziel)」を携えているとされる。このラジエルの書は宇宙の全てを網羅し、奇跡や魔術を可能にするとされているが、ラジエルだけが分かる秘密の文字で綴られており、人間はおろかラジエル以外の天使にさえ解読は不可能とされている。
ラジエルはエデンの園を追われたアダムとイブに同情し、この書をアダムに与えた。その後嫉妬に駆られた天使たちによって書は奪われ海に捨てられてしまったが、海を支配する天使ラハブが神の命によって探し出し、無事にアダムに返された。その後エノクが「エノク書」を書くために利用され、次いでノアが箱舟を作るためにこの書を手にした。またその後アブラハムの手に渡り、その一部がエジプトで教えに用いられ、文明の進歩に一役買ったとされる。またまたダヴィデの手を経て最後にはソロモン王がこの書を手にした。ソロモンが人間を超越した魔術師となったのもこのラジエルの書によるところが大きいと言われている。ソロモンの死後この書がどこにいったかは分かっていない。カバリスト達は「セファー・ラジエル」がカバリズムの根本経典だったのではないかと考えている。
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ラジャ・トントグ・マタナンダウ
ラシュヌ
古代ペルシア神話における正義を神格化した神。ゾロアスター教では公正のヤザタとして信仰される。アフラ・マズダとスペンタ・アルマイティとの間に生まれたヤザタであり、妹として幸運を司るヤザタ「アシ」がいる。ミトラやスラオシャなどと共に死者を裁く神で、人が死ぬと善悪の行いが黄金の天秤にかけられ先の運命が定められた。判事達が決定に至るには三日三晩かかり、その間死者の魂は自分の亡骸の周りに漂い自らの人生について思い、首を長くして待つ。決定がなされると魂はチンヴァト橋へ送られる。これはアフラ・マズダの極楽へと渡っていく橋である。善き魂は麗しい女性が手を引いて渡してくれる。悪しき魂がこの橋を渡る場合、橋はあまりにも細く剃刀のように尖ることになるので、深淵へと落下する。そこには悪霊が待ち受けていて、およそ思い浮かぶ限りの苦痛を死者に与える。しかし極楽にしろ地獄にしろ、魂にとっては仮の宿りであり、復活の日までには、肉体、魂を含めた人間の全体が裁かれることは無いという。
またラシュヌは戦士でもありミトラ、スラオシャと共にダエーワ達と戦った。
ラショー
ラスイル
ラスコヴィーチェ
ラスフイア
羅刹 らせつ
羅刹天 らせつてん
羅刹女 らせつにょ
ラツィエル
ラッツムギカイ
ラツレ・ダノー
ラティ・バティ・ドゥア
ラドゥエリエル
旧約聖書偽典「第3エノク書(ヘブライ語エノク書)」やタルムード文献に言及される天使。「ラドウェリエル(Radweriel)」、「ラドウェリエル・H'(Radweriel H')」とも呼ばれる。メタトロンより上位とされる天使の一人であり、詩と記録を司る天使だとされる。ラドゥエリエルは天使を創造する特権を与えられており、ラドゥエリエルが口から言葉を発するとその言葉の一つ一つが天使になるのだという。詩人の天使、記録の天使として、「ヘプタメロン」に天上の書記として言及される「ダブリエル(Dabriel)」、旧約聖書偽典「第2エノク書(スラブ語エノク書)」などに言及される、書庫の守護天使であり天上の書記者である「ヴレティル(Vretil)」ないし「プラヴィル(Pavuil)」などと同一視される。
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ラドウェリエル
ラトエレ
ラトナケートゥ
ラトナサンバヴァ
ラトナパーラミター
ラハティエル
ラハブ
新約聖書や旧約聖書の「ヨブ記」などに見える怪物めいた天使。バビロニア神話のラハムをモデルとし、名前は「暴力」を意味する。海を支配する天使であり「原始の海の王子」と称され、世界と等しいほど大きな蛇の姿をしていたと考えられている。神の天地創造の際に世界中の水を全て飲み込むように命じられたが、これに反抗したため神に蹴り殺され、堕天使となった。ラハブの死骸はひどい悪臭を放つようになったので、神はその死骸を深い海の底を沈めたという。また別の伝説によればラジエルがアダムに与えた世界の全てが書かれた秘書「セファー・ラジエル(Sefar Raziel)」が妬み深い天使によって奪われ海に捨てられた時、ラハブはこれを探し出しアダムに返したとされる。
ラハム
ラバルツ
バビロニア神話に登場し、女の姿をして、山や沼などをさまよい歩いている。子供を盗んだり苦しめたりするので、子供は首に護符をかけてラバルツに誘拐されないようにする。
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ラビエル
ラビス
ラーフ
ヒンズー教において、「ナヴァグラハ(Navagraha=九曜)」の一人であり、日蝕や月蝕などの触現象を一つの星としてとらえたもの。元はアスラ族の一人であった、スヴァルヴァーヌであり、不死の甘露「アムリタ(Amṛta)」を盗み飲みした為にヴィシュヌに首を切り落とされたものの、アムリタを飲んだ後であったため死なずに、頭部はラーフに胴体はケートゥとなり生き続けることとなったという。ラーフが太陽であるスーリヤや月であるチャンドラを飲み込もうとすることで日蝕や月蝕が起こると考えられた。
仏教では「羅睺(らご)」(宿曜儀軌)と音写され、胎蔵界曼荼羅の外金剛部院(最外院)南方に配置される。
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ラフ
ラファエル
ユダヤ教・キリスト教における四大天使の一人。終末において七つのラッパを吹き鳴らす七人の天使の一人。名前は「神の熱」あるいは「神は癒す」を意味する。炎の剣によって象徴され、四大元素の「風」、四方位の「西」と理性、「正義」という美徳を司る。元々はバビロニア南部のカルデア人によって信仰されていた神格であり「ラビエル(Labbiel)」と称されていた。旧約聖書外典「第1エノク書」のギリシャ語写本には「人間の霊魂を司るもの」と説明されている。また他にも「癒しを行う輝ける者」、「エデンの園の“生命の木”の守護者」などと言われ、外科医や医者を守護する天使とされる。また巡礼者を守護するともされ、杖と水筒を持つ旅人の姿で描かれることもある。
「旧約聖書」の「創世記」にはラファエルがヤコブを祝福するに至った経緯が記されている。ヤコブが故郷に向けて旅をしていたとき、知らない者があらわれていきなりヤコブにレスリングを申し込んだ。腿の関節が外れてもヤコブはその人を離さなかった。ヤコブはその者が天使であることがわかっていたからだ。ラファエルはヤコブに「イスラエル」の名を与え祝福し、腿を治療して元通りにしたという。
また高齢になってから割礼を受けたアブラハムを癒したのもラファエルとされている。受動的で母性的な能力を象徴するラファエルは女性として絵画にかかれることも多い。
ラブシ
ラブス
ラベゼリン
ラマシュトゥ
ラマツ
ラマッス
古代シュメールやアッカドにおける精霊の一種。シュメールでは「ランマ(Lama)」、アッカドでは「ラマッス」と呼ばれた。ウトゥックのうち良い精霊だけがこの名で呼ばれる。主に髯を蓄えた人間の顔をした雄牛ないし獅子の姿で表され、たいてい翼を持っている。性別があり、男性が「ラマッス」、女性が「シェードゥ(Sedo/Shedu)」と呼ばれ、基本的につがいの存在として知られていた。ただ、髯があるほうがラマッス(=女性)である。天使のような役目を持っており、神と人間と間の仲介者を務めたり、人間を正しく導いたり、災厄から護ったりするという。
ラムエル
ラムテル
ラムバー
ラメエル
ラメカラル
ラメキエル
ラモア
ララ
ラ・リョローナ
メキシコの民間伝承における女性の怨霊。名前は「泣く女」を意味し、自分の子供を殺してしまった女がさすらううちに悪魔になったとされている。美しい女の姿をしているが、後頭部に穴が空いていることや、良く見ると眼の中に灰が溜まっていることでわかる。夜中に路地や森、海岸に現われ啜りながら振り返る、という仕草をする。時には嘆き悲しむ声だけが聞こえるときもある。人を見つけると息子を知りませんかと尋ねることもあるが、他の説話では男をおびき寄せて性交渉を行い、あげく男の肉を喰らうこともあるという。こういった状況に陥った場合、火のついたタバコをラ・リョローナの後頭部の穴に押し込めば、正体をあらわして逃げていくとされる。
ラリラリ
ラル
ラレス
ラレス・ウィアレス
ラレス・コンピタレス
ラレス・ファミリアレス
ラレス・プラエスティテス
ラレス・ペルマリニ
ラーン
北欧神話において外洋を支配する女神。夫であるエーギルとともに巨人族に属するが、ヨツンでは無く神々と敵対していない。名前は「誘拐する女」を意味し、溺死に対する恐怖あるいは時化(しけ)が神格化された存在だと考えられている。海の波はラーンの娘達であり、母の命令のままに船乗りを誘惑し、激しく会場を駆け巡って船を沈めた。このラーンの娘は九人いて、全員がアスガルズの門番神ヘイムダルの母であるとされる。またラーンは「溺死の網」と呼ばれる大きな網を所有しており、これを使って航海者をからめとり海中に引きずりこむという。こうしてラーンは怖れられていたがそれだけではなく海洋の持つ豊かで女性的な側面をも体現しており、溺死者たちには海底にあるラーンの住む館で素晴らしい魚料理が振舞われるとされている。
ランガル
ランギ・ヌイ
ランケカントコロカムイ
ランダ
バリ島で独自に発展したヒンドゥー教、いわゆるバリ・ヒンドゥーにおいて、悪の権化と称される魔女。魔法を使う女性が人を恨んで悪の道に落ちた時、その女性は人外の存在へ、つまりランダへと変身するのだという。黒魔術を得意とし、様々な姿に化けたり、憑依したり、病気を撒き散らしたりするという。しかし、ランダももともとは人間だったため心の奥底に良心が眠っており、人々の慰めによってそれを取り戻し、白魔術を行うこともある。いまでも疫病や災害が猛威を振るった時はランダを慰め、鎮めるための儀式が行われる。
鸞鳥 らんちょう
中国における伝説上の鳥。単に「鸞(らん)」とも呼ばれる。また正確には雄が「鸞」、雌が「和」という名前で合わせて「和鸞」と呼ぶ(おそらく鳳凰との対比)。最古の地理書「山海経」では、「五彩(青黄赤白黒)の模様がある雉(きじ)のような姿の鳥」(西山経)、「鸞鳥は自ら歌い、鳳凰は自ら舞う」(大荒南経)、「五彩の鳥は三種おり、一つは皇鳥、一つは鸞鳥、一つは鳳鳥である」(大荒西経)などと紹介されている。他に鳳凰の一種であるとか、神の精であるなど各種の説がある。鸞鳥が現れると天下は太平になるとされる。