ヴァイセ・フラウ

Weisse frau

ドイツにおいて古城に現れるという女の妖精。名前は「白い婦人」の意。好意的な妖精で旅人に道を教えてくれるとされる。ヴァイセ・フラウは子供が好きで子供を虐待した者を溺死させ懲らしめる。またヴァイセ・フラウの接吻を受けた子供は不死身になるとされている。

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ヴァイローチャナ

Vairocana

インド神話における太陽神。神々と敵対する種族ダイティヤに属するプラフラーダの息子であり、ダイティヤの王となった。インドラとともにアートマン(自我・そのものの本質のこと)を発見しようとプラジャーパティに教えを請うた。

仏教においてはヴァイローチャナ(毘盧遮那如来)、或いはマハーヴァイローチャナ(大日如来)と呼ばれ、密教における中心仏、教主とされる。

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ヴァオテレ

Vaotere

メラネシアに位置するフィジー諸島やトンガ諸島の民間信仰において、トキワギョリュウないし鉄樹(硬質材の採れる樹木の総称)といった木に住むとされる悪魔。名前は「動くくぼみ」といった意味。何人かの男がヴァオテレが住むという木の評判を聞きつけ、木を倒そうとしたが、根を切るたびにそうした男たちは死んでしまった。しかもそうした木の根には傷一つついてなかった。そこで英雄オノ(Ono)は鉄樹の根をすべて掘り起こし、繊細で傷つきやすい若枝の部分を切り落とすという作戦に出た。オノが根元からまっすぐに伸びている太い根を真っ二つに裂いたところ、そこから怒り狂ったヴァオテレが姿をあらわした。大きな口をあけて迫ってくるヴァオテレに対して、オノは魔法の鋤を打ち下ろしてこれを倒した。ヴァオテレの体は無数に飛び散り、それはすべて鉄樹に変わって島を覆ったという。

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ヴァジュラヴァーラーヒー

Vajravarahi, Vajravārāhī

チベット、ネパール仏教で重要な神格とされている女性の仏尊。名前は「金剛の雌豚」を意味する。ヴァジュラヴァーラーヒーはサンスクリット名であり、チベットでは「ドルジェパクモ(rDo rje phag mo, Dorjé pakmo)」といい、漢名では「金剛亥母(こんごうがいも)」と称する。「チャクラサンヴァラ(Cakrasaṃvara)」=コルロ・デムチョクの明妃としてヤブユム像をとるほか、ヴァジュラヴァーラーヒーを本尊とする曼荼羅も描かれる。名称が表すように豚の頭が顔の上あるいは右にあり、赤い肌で稲妻の矢、頭蓋骨、棍棒を持った姿で描かれる。

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ヴァジュラヴィキャータヴァジュラダラ

Vajravikhyātavajradhara

ヴァーチャー

Virtue, Virtus

ユダヤ教、キリスト教における、天使の9階級のうちの第5階級。「ヴァーチュー」とも発音する。語義は「高潔」あるいは「男らしさ」。複数形で「ヴァーチャーズ(Virtues)」、日本では「力天使」と訳される。ヘブライでは「マラキム(Malakim)」あるいは「タルシシスム(Talshishism)」の名で知られていた。人々に恩寵と勇気を与えるために、地上において奇跡を行う役目を担っているとされる。たとえばキリスト昇天の際に出現し、付き添ったのもヴァーチャーズだとされている。ヴァーチャーの指揮官はミカエルラファエル、バービエル(Barbiel)、ウジエル(Uzziel)、ペリエル(Periel)などとされている。

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ヴァッサゴ

Vassago

ユダヤの魔神で、「予言の貴公子」とも呼ばれる。三角形に近い白い骸骨のような頭を持った老人の姿をしており、目はこめかみ近くまでつり上がっている。ただし盲目で、その目は異次元だけを見通すという。大きなワニにまたがり、右手にカラスを止まらせ、全ての淫らな事と悪徳、女性が隠している秘密に通じ、それらについて講釈したがるという。過去・現在・未来の出来事に関してかなりの知識をもっており、なくした物を見つける力を持っている。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。

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ヴァテア

Vatea

ポリネシアのクック諸島にあるマンガイア島における天空神でツアモツ諸島のアテアと同定される。ヴァテアは女神パパ・ツ・ア・ヌクが生んだ子の父が誰なのかをトンガ・イチという神と争い、二人とも自分こそが親だと譲らないので結局子供を二つに割って分けることになった。ヴァテアが分けた上半身を空に投げたところ輝いて太陽になった。トンガ・イチは血の流れるまま分けた上半身を放っておいたが、ヴァテアが太陽を作ったのをみて真似して空に投げた。もう血を失って青白くなっていた下半身は空に上ると月となった。

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ヴァナ

Vanir

北欧神話における二つの神族のうちの一つ。「ヴァナ」は複数形で、単数だと「ヴァン」。平和を好む神々だとされ、もう一方の神族であるアサ神族とは区別されている。アサ神族と比べると神話への登場は少なく、ニョルズとその息子のフレイ、そしてフレイの双子の姉妹であるフレイヤの三柱だけで他のヴァナ神族はほとんど姿を見せない。しかし、この三神に共通する性質から、富と生産、そして愛情に関係する豊穣神の一族だと考えられている。彼らは性的に開放的であり、近親婚を常識とした。また魔法に長けた一族であるともいわれている。神話においてヴァナ神族とアサ神族は敵対関係にあり、ヴァナ神族は有利に戦いを進めて一度はアサ神族の城壁を破壊したりしたが、最後には互いに人質を交換して和睦したという。ヴァナ神族はヴァナヘイムと呼ばれる彼らの国に住んでいるといわれる。

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ヴァヌシュカ

Vanuška

ロシアのマリ人(チェレミス人)の民間信仰における悪魔(ケレメト)の一種。「オシュ・ブイ・ヴァヌシュカ(Oš Buj Vanuška=白い頭のヴァヌシュカ)」とも呼ばれる。

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ヴァピュラ

Vapura

ユダヤの魔神で、「獅子公」とも称される。グリフィンの翼をもった獅子の姿で現れ、たてがみは赤く、深い叡智を秘めた緑色の瞳をしているという。指先の熟練を要する仕事や、哲学に関する技術を教授してくれるとされる。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。

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ヴァフスルードニル

Vafthrudnir

北欧神話に登場する巨人(ヨツン族)の一人で賢者とされる。彼はその知識を死者から得ていたとされる。知識の探求者であったオーディンは変装してヴァフスルードニルと謎掛けの勝負をし、最終的に勝っている。彼が最後にした質問は「オーディンがバルドルの葬儀の際、彼の亡骸になんと囁いたか」であった。この問いによってヴァフスルードニルは目の前に居る人物がオーディンであることに気付き負けを認めたのだった。

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ヴァーマナ

Vamana

インド神話において、宇宙を維持する神ヴィシュヌが世界を救うために取る十種の化身(アヴァターラ)のうち、第五の小人の化身。悪魔バリがインドラの都を占領したときに出現した化身で、バリの元に現れ「私が三歩で歩けるだけの土地を下さい」と懇願した。バリが笑ってそれを許した途端、ヴァーマナは本来の巨大なヴィシュヌの姿に戻った。二歩で世界を歩き尽くし、「さて三歩目はどうしよう」と笑っていった。バリはひざまずいて自分の額を差し出して三歩目を受け止めた。ヴィシュヌはその神妙な行いを称え、バリの王国は取らないで許した。

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ヴァーユ

Vāyu

インド神話における風と雷の神で猿神ハヌマーンの父親。(ときにインドラを御者とした)多数の駿馬の引く光り輝く馬車に乗っているとされる。ヴァーユの馬車が通るとすさまじい風と雷の音が響き、その雷は天に達すれば暁が起こり、地に達すれば砂塵を巻き上げるとされた。ヴァーユの姿は人には見えず、ただ轟音だけが通り過ぎ去るのみである。ヴァーユがどうやって生まれたのかは誰も知らないことになっている(しかし原初の巨人プルシャの息から生まれたとする神話もある)。また現在のスリランカにあたるランカー島はヴァーユがメール山(スメール山ともいう。日本仏教でいう須弥山)の頂上部分を吹き飛ばして作ったものだとする神話もある。後世のヒンドゥー教では北西の方角と風を司る神とされた。仏教にも取り込まれ、漢訳で「風天(ふうてん)」と称される。

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ヴァラク

Valac

ユダヤの魔神で、「龍総統」と呼ばれる。小さな翼のある少年の姿をしていて、赤い二つ首のドラゴンにまたがっているとされる。あまり賢くはないが常に真実を話し、全ての爬虫類を支配し、隠された財宝を探り出す能力がある。ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。

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ヴァラーハ

Varāha, Varaha

インド神話において、宇宙を維持する神ヴィシュヌが世界を救うために取る十種の化身(アヴァターラ)のうち、第三の猪の化身。まだ大地が生まれて間もない頃、アスラの一人ヒラニヤークシャが大地と掴んで水の中に投げいれたことがあった。この時ブラフマーの鼻から飛び出してきたのがヴィシュヌの化身である巨大な猪ヴァラーハだった。ヴァラーハは水中に飛び込み、その牙で大地を引っ掛けて引き上げようとした。途中ヒラニヤークシャがこれを邪魔しようとしたがヴァラーハはヒラニヤークシャを殺し、大地を元通り水の上に固定した。

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ヴァーリ

Vári

北欧神話におけるアサ神族の一人でオーディンと女神リンドの息子。名は「小さな戦士」を意味するという説がある。ヘズによるバルドルの殺害は悪意の無い過失ではあったが、オーディンは肉親でであるバルドルの復讐のため、ヘズを殺さなければならなくなった。しかし、ヘズ自身もまたオーディンの息子であったため、この復讐はオーディンの手では出来ない。そのため、血族でありながら血族とは見なされない幼い子供が適任であったため、オーディンはリンドとの間にヴァーリをもうけた。

ヴァーリは生まれて一夜でヘズを殺し火葬にした。薪の上にヘズの亡骸を乗せるまでヴァーリは手を洗わず、髪の毛を櫛でとかなかった。復讐を終えて成長したヴァーリは勇敢で大胆な戦士となった。強運を持っていたために、その手から放たれる矢は外れることはなかった。ヴァーリは神々と巨人族の最後の戦い(ラグナロク)を生き残り、現在の世界が滅んだ後に生まれる新世界の神になると予言されている。

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ヴァーリ

Vári, Vali

北欧神話において、策略の神ロキシギュンの子。邪悪さを増し、もはや捨てて置けなくなったロキに対する処刑の一環として狼に変えられしまったヴァーリは、たちまち兄弟であるナルヴィをかみ殺してしまった。ナルヴィの腸はロキを岩に縛りつけるために使われた。

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ヴァール

Vár

北欧神話において誓約が神格化されたと思われる女神。神話には名前しか記載されていないため、父母や所属する神族は不明。ヴァールは強い力を持つ神と考えられ、神々の宿敵である巨人族の者ですら、誓いを交わすときにはこの女神の名前を口にしたという。ヴァールは人間の誓いの言葉や、男女の間で交わされる特別の約束、取り決めに耳を傾け、誓約を破る者には復讐をする。古代北欧において誓約という言葉は、このヴァールの名にちなんで「ヴァーラル」と呼ばれたといわれる。

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ヴアル

Vual

ユダヤの魔神でソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。「ウヴァル(Uvall)」、「ヴォヴァル(Voval)」などの別称を持つ。大きな黒いラクダ(ヒトコブラクダともフタコブラクダとも)か、ローブに身を包んだ日焼けした男の姿であらわれる。人間の姿の時はエジプト語(或いはそれらしい言語)を話すため、エジプトの魔神だと考えられている。どんな女の愛をも勝ち取る力を持ち、この能力を期待され召喚されることが多いが、過去と未来に関する知識も授けてくれるという。

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ヴァルキューリ

Valkyrja

北欧神話において、主神オーディンに仕える戦いのディス達。語義は「戦死者を運ぶ者」。多くの場合、兜をかぶって手に槍を携え姿だとされ、空を飛ぶ馬に跨って、あるいは雲に乗ったり自らの力で飛んで戦場へと赴く。ヴァルキューリは戦運が神格化された存在であるため、戦闘に関わる言葉をそれぞれの名前としている。

巨人族との最後の戦い(ラグナロク)に備えるため、オーディンは勇敢に戦って死んだ王や戦死を神界へと集めている。これを実際に行うのがヴァルキューリで、そういった者たちを選ぶために人間達の戦場へと飛来する。戦死するものはオーディンによってすでに決定されている場合もあるが、ヴァルキューリは人間の運命に介入するディース達から派生した存在であるため彼女らにも戦死者の運命を定める権利がある。倒れた戦士を神界アスガルズのオーディンの神宮の一つであるヴァルハラ(戦死者の館)まで運んだヴァルキューリは、神界で復活した勇者達を天女のようにもてなす。ラグナロクまでの間、戦死者たちはヴァルハラで英気を養うのだという。人間族出身のヴァルキューリもいくつかの神話で見られ、そういった者は人間界の王女であることが多い。ヴァルキューリは羽毛の衣を着て白鳥の姿で人間界に降りてくることもある。

ヴァルキューリの固有名としては、「ブリュンヒルデ(Brunhilde)」、「ヒルデ(Hilde)」、「ゲル(Göll)」、「ゴンデュル(Gondul)」、「フリスト(Hrist)」、「ミスト(Mist)」、「シグルーン(Sigrun)」、「スヴァーヴァ(Swawa)」、「スコグル(Skogul)」などが挙げられる。

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ヴァルナ

Varna

インド神話における法と水、天を支配する神。ミトラとは双子でアーディティの子(アーディティヤ)とされる。インドラが武勇神、軍神であったのに対し、帝王の威信を持ち、「天則(リタ)」の保護者として宇宙一切の秩序を保持する。リタとは自然界、人間界に秩序を与える理法で、それによって天体は正しく運行し、四季は時を違えず循環するのみならず人間社会に発言して道徳律となる。彼は欺瞞と背信をもっとも憎み探偵を放って人間の行動を監視し、竜索と呼ばれる大縄で悪人を縛り水腫病によって罪人を罰する。その怒りと懲罰の前に人間は畏怖したが、反省があればこれを取り消すこともあったという。したがってヴァルナは過去や未来を知り、常にどこにでも存在すると考えられた。太陽はヴァルナの目である、ともされた。

後世の神話においては司法神としてではなく水神として信仰され、西の方角と海と水を治める水の王とされた。しばしば七羽の白鳥に乗った姿で表され、風はヴァルナの息であるとされた。「マハーバーラタ」によれば海のただ中に住み、全ての河と全ての海を従えているという。仏教にも取り込まれ、漢訳されて「水天(すいてん)」と称する。

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ヴァレフォル

Valefor

ユダヤの魔神でソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。「マレファル(Malephar, Malephal)」とも呼ばれ、旧約聖書偽典「エノク書」をモデルとする「偽エノク文書」の目録にもその名が見える。ライオンの姿、或いはロバの頭を持つライオンの姿であらわれる。オカルト的な医学の知識と人間を色々な動物に変えてしまう魔術に詳しいとされる。「盗賊の公爵」と称され、その称号通り手癖が悪いとか、盗賊と親しいなどとされる。

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ヴァン

Vanr

北欧神話における二つの神族のうちの一つ。複数形では「ヴァーニル(Vanir)」と呼ばれる。その全てが豊穣神であり、平和的な性質を持ち、魔法に長けた種族とされた。彼らは「ヴァナヘイム(Vanaheimr)」と呼ばれる国に棲んでいるとされ、ニョルズフレイヤフレイなど数々のヴァナ神族が神話に登場する。

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ヴァンニク

Vannik, Bannik

スラヴにおける精霊で「バンヤ(banya)」と呼ばれる戸外に建てられるサウナの守り神とされる。家の者が全員風呂を使い終わった後で、他の精霊たちを引き連れて入浴しに来る。4回に1回はヴァンニクとその仲間の入浴にあたるため、家の者が全員入浴し終わってとしても、彼らの為にお湯や石鹸やモミの枝を残しておかなければならないという。ヴァンニクは滅多に姿を表さないが、まれに湯気の中に人の姿をとってぼんやりとその姿が見えることがある。長い白髪と白髭を蓄えた小さな老人の姿をしていると信じられているが、家の誰かの姿に変身したりもできるのでその姿を見るのは難しいとされている。

ヴァンニクの入浴中に戸をあけて中に入ろうとすると、入浴を邪魔されたと思って激怒し熱湯をかけられたり皮をはがされたり、時には火傷によって殺されたりすることもあったという。ヴァンニクは悪い精霊から家の者を守る善霊であるが、機嫌を損ねると恐ろしい精霊でもある。例えば、ヴァンニクは浴場で生まれた赤ん坊を守ってくれるとされていたが、一方でまだ洗礼の済んでいない赤ん坊をさらってしまうとも考えられた。

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ウィーウイルメック

Weewilmekq

ネイティブアメリカンの一部族であるミクマク族、またミクマク族が属するアルゴンキン語族に伝わる巨大な水棲の蛇。いわゆるホーンド・サーペントで、鹿のような枝角が生えた蛇、或いは普通の角が生えた蛇、また背骨のあるチョウザメのような蛇だとされる。滝壷や渦巻きの中といった流れの速い場所に棲んでいるとされる。またその角は邪悪な性質を持ち、悪い魔法使いに珍重されるとも言われる。ミクマク族の伝承によれば、あるシャーマンの守護霊であり、同じく蛇の精霊であるキチ・アトハシスを守護霊とするシャーマンと力比べをするため二人はボイデン湖(現メーン州ワシントン郡)で対決したとされる。

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ウィウィレメク

Wiwilemekw

北米のネイティブアメリカンの一部族、マレシート族、パサマクウォディ族の伝承に登場する怪物。海に住んでいて、ワニに似た姿で大きな角を生やしているとされる。この角はとても大きな力を持っていて、ウィウィレメクと対峙しこの角を少し削ることが出来ただけでも、その人間はウィウィレメクの力を手にすることができるという。

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ウィヴル

Wivre

フランスの伝承や伝説に登場する怪物。ギーヴルと同義とされることもある。翼のないドラゴンのような(つまり足の生えた蛇のような)外見をしている。ウィヴルには奇妙な習性があり、衣服を身に付けたものを見ると襲うが、裸のものを見ると逃げていくという。語源的にワイヴァーンヴィーヴルと関連が深い。ヌヴェール地方ではヴィーヴルのことをウィヴルと呼ぶ。

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ヴィーヴル

Vouivre

フランスにおける想像上の生物の一つ。語源的にはイングランドのワイヴァーンがフランス語化されたものだが、姿や特徴はかなり異なる。ヴィーヴルは下半身がドラゴンで上半身が豊満な胸の女性という人頭獣身の姿(単に蛇の姿ともされる)をしており、額にルビーやダイヤモンドなどの宝石がついている。この宝石は物を見る力や、魔力が宿っているとされ、魔法使いに欲しがられた。ヴィーヴルは水浴びの時、あるいは水を飲む時、この宝石が水に濡れるのを嫌がり、はずして手元に置くとされる。この時こそ宝石を盗むチャンスで、これを手にした者はその力を我が物に出来るが、宝石を奪われたヴィーヴルは力を失い衰弱して死んでしまうという。ヴィーヴルは廃墟となった城や修道院に棲んでいて、そこにある宝を守っているとされる。

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ウィカチャ

Wikatcha

アメリカ南部に住むネイティブアメリカンの一部族、クリーク族の伝説に伝わる怪物。「ウィ・カチャ(Wi Katcha)」とも呼ばれる。水中に住む猫で、人間の女性と結婚し子供を設けたが、それを不吉と感じた家族が子供を殺そうとしたためウィカチャは怒って洪水を起こした。町の人々のほとんどは洪水に巻き込まれ死んでしまい、ウィカチャは妻と子供を連れていなくなった。

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ヴィキーラノーシュニーシャ

Vikiranoṣṇīṣa

ウィクラマダッタ

Wikramadatta

インドネシアのジャワ島において、伝承や信仰に登場する巨人達の王。賢者であり、島の全ての巨人を支配していたとされる。ウィクラマダッタは島の王に武器を全て差し出すように要求し、島内の争いをおさめたという。

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ウィサケジャック

Wisakedjak

ネイティブアメリカンのキカプー族、クリー族、フォックス族、ポタワトミ族といったアルゴンキン系のネイティブアメリカンにおける創造者あるいはマニトゥ(精霊)。「ウィサカ(Wisaka)」とも呼ばれる。オジプワ族のナナブッシュやアブナーキ族のグルスカプと比定される。クリー族では海蛇の起こした洪水で大地が没してもいかだを作って生き残り、水潜り鳥を使って大地を水中から取り出し、新たな世界を創造したとされる。

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ヴィジ=アンヤ

Vizi-Anya

シベリアのマジャール族の神話で、「水の母」と称される水の精。ハンガリーでは「ヴィズ=アンヤ(Viz-Anya)」、他のバルカン諸国では「ヴィジ=アンヤ」として知られている。深い湖や、かなり大きな淡水域に住んでおり、ヴィジ=アンヤやヴィジ=リーニーが人間の前に姿をあらわすことは、不幸な事が起きる前兆とされる。

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ヴィジ=エンバー

Vizi-Ember

バルカン諸国に住むマジャール族の神話で、湖や川に住む水の精。ハンガリーでは「ヴィズ=エンバー(Viz-Ember)」、その他のバルカン諸国では「ヴィジ=エンバー」と呼ばれる。対を成すヴィジ=アンヤと同様に深い湖や広い淡水域に住んでいる。人間を貪り食うが、誰もやってこなければ、大声を上げて生贄を要求する。従って、そんなヴィジ=エンバーの声を聞きつけた者は、もうすぐ誰かが溺れるという事を知る。

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ヴィシャーカー

Viśākhā

ヴィジャヨーシュニーシャチャクラヴァルティ

Vijayoṣṇīṣacakravarti

ヴィシュヴァカルマン

Viśvakarman

インド神話に登場する創造神。名前は「万物を造るもの」の意で、「造一切者」などと訳される。『リグ・ヴェーダ』の賛歌によると、彼はあらゆる方角に眼、頭、腕、足を有し、その双腕と翼であおいで天地を創造した唯一神であり、また木材や樹木を用いて大地を生産し、天空を開いたという。富の神クベーラのためにランカー島(現在のスリランカ)に黄金の城壁を作ったが、後にランカー島はラーヴァナに奪われてしまった。仏教においては音から「毘首羯磨」と音訳され、帝釈天の臣下として彫刻や建築などの美術を司る神とされる。

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ウィシュトシワトル

Huixtocíhuatl, Uixtoxíhuatl

アステカ神話において、人々に「塩」をもたらす女神。字義は「発明者」。ウィシュトシワトル、アトラトナンシローネンショチケツァルの4人の女神に扮した女性は、テスカトリポカに扮する若い戦士に仕える4人のうちの一人であった。この戦士は名誉と快楽を1年間傍受したあと、365日暦の6番目の暦月にある「トシュカトル(「渇いたもの」の意)」という祭儀で4人と一緒に生贄にされる運命にあった。また、365日暦の8番目の暦月にはウィシュトシワトルを祀る「テクイルウィントリ(「神々の小さな祝祭」の意)」という祭儀があった。

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ヴィシュヌ

Visnu

ヒンドゥー教ヴィシュヌ派の宗教的信仰の中心として崇拝され、シヴァブラフマーと共に三神一座(トリムールティ)を成す神。ラクシュミを妻とする。元来は太陽神で、天界を三歩で歩くといわれ、愛の神として信者に平等に恩恵を与える。次第に神としての地位を高め、三界を支配する諸神の最高神になった。宇宙を維持し世界を救済するためマツヤ(魚)、クールマ(亀)、ヴァラーハ(猪)、ナラシンハ(人獅子)、ヴァーマナ(小人)、パラシュラーマ、ラーマチャンドラ、クリシュナ、ブッダ、カルキの10種の化身(アバターラ)で世界に顕現し、慈悲を持って人々を導くという。主に若く美しい青年の姿で表され、青い体に4本(二対)の腕を持つ。ガルダに乗った姿やアナンタに護られた姿で表されるときもある。また三神では正面にブラフマー、右にヴィシュヌ、左にシヴァを配す。

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ヴィジ=リーニー

Vizi-Leany

シベリアのマジャール族の神話で、「水の乙女」と称される水の精。ハンガリーでは「ヴィズ=リーニー(Viz-Leany)」、他のバルカン諸国では「ヴィジ=リーニー」の名で知られる。ヴィジ=アンヤより下位の精霊だとされ、長い髪を垂らした人間の姿をしている。ヴィジ=リーニーが人間の前に姿をあらわすことは、不幸や災難が起きる前触れとされる。

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ヴィセソ

 

インドネシアのジャワ島において、創世神話に登場する至高神。宇宙卵から天地、太陽と月、昼夜を作り、名を与えた。またその中から昼(マニク)に世界の支配権と、万物を作り出す力を与えた神とされる。

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ヴィゾフニル

Vithofnir, Víðópnir

北欧神話に登場する鳥。「グリンカンビ」とも呼ばれる。巨大で黄金の羽毛を持った雄鶏で、世界樹ユグドラシルのてっぺんに止まっており、神々のよからぬことが近づくと鳴いて知らせるという。

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ウィタカ

Huitaca

コロンビアのチブチャ族の神話に登場する、勝手気ままに振舞う酩酊の女神。月の女神チエと同じく、道徳や戒律に反したとして文化英雄ボチカによってフクロウに変えられてしまった。

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ヴィーダル

Vidar

北欧神話に登場する寡黙なる神でアサ神族の一人。揺ぎ無い自然を体現する神だと考えられる。神々の王オーディンと女巨人グリードの間に生まれた子。深遠な原初の森にあるヴィディという場所に一人で孤独に住んでいる。終末の戦い「ラグナロク」においては特別な靴によってフェンリルの下顎を踏み潰しオーディンの仇をうつことになっている。この靴は母グリードが息子のために作った靴だった。ラグナロク後に生き残る数少ない神の一人とされる。

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ウィツィロポチトリ

Huitzilopochtli

アステカにおける戦いの神。名前は「南のハチドリ」ないし「左の青いハチドリ(メソアメリカ人たちは西を上方、南は左と認識していた)」といった意味。創造神オメシワトルオメテクートリから生まれ、ケツァルコアトルテスカトリポカシペ・トテックを象徴的な兄弟とする。しかし、別の伝承ではコアトリクエの末の息子だともされている。コアトリクエはミシュコアトルの妻であったが、ある日彼女のもとに落ちてきた羽のボールの魔力で「一人で」ウィツィロポチトリを妊娠してしまった。コアトリクエの息子であったセンツォンウィツナワックセンツォンミミスコアは、そんな母親を恥に思い母親殺しを企てた。それに気づいていたウィツィロポチトリは完全武装で母親の胎内から生まれ出でて、母親を救うためにすぐに二人を殺そうとした。その際、母親に陰謀があることを警告しようとしていた姉のコヨルシャウキの首を切り落としてしまった。ウィツィロポチトリがコヨルシャウキの頭を天に投げるとそれは月になった。センツォンウィツナワックとセンツォンミミスコアはウィツィロポチトリによって罰として空に撒き散らされ、それぞれ南と北の星座になったという。

メキシコ盆地に移住してきたアステカ最後の部族で、帝国を築いたメシーカ・アステカ人(太陽の民)の部族神であり、その首都テノチティトランの守護神でもある。戦いの神であると同時に太陽の神で、太陽として毎日おもむく天空の旅では、日の出から正午まで戦死した戦士の魂に付き添われた(アステカ人にとって戦死は最も名誉な死に方だった)。こうしてウィツィロポチトリは正午から日没まで、西に降りていくシワテテオに付き添われ、正午以降の太陽落ちていくワシに譬えられた。夜の間、太陽は地下の死者の世界を照らしていた。

ウィツィロポチトリは生命の授与者トラロックと同様の立場を与えられ、これら2神を祀る双体神殿は、テノチティトランにある大神殿のピラミッド基壇の上に建てられた。トラロック神殿が水を象徴する明るい青と白で塗られていたのに対し、ウィツィロポチトリの神殿は戦いを象徴する赤色に塗られていた。

またウィツィロポチトリは北西部の砂漠地帯にあるとされている伝説のアストランの洞窟からメソアメリカ中央部までメシーカ人を導いたという。 アステカの18ある365日暦の暦月において、10、13、16番目の月には、それぞれ「ミカイルウィトントリ」、「パチトントリ」、「パンケツァリストリ」と呼ばれる、ウィツィロポチトリとその他の神を祀る祭儀があった。また暦上では「セ・テクパトル(1の火打石)」という名があり、その日はウィツィロポチトリないしカマシュトリの祭日であった。

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ウィッシュプーシュ

Wishpoosh

アメリカのワシントン州に住むネイティブアメリカンの一部族、ペヌート語族に属するネズパース族に伝わる、部族の発生説話に登場する怪物。湖に住んでいて巨大なビーバーの姿をしているとされる。湖の魚を独占したいがために人間や魚をとる生き物を湖から追い払ったり殺したりしていた。人々が困ってコヨーテに助けを求め、コヨーテはウィッシュプーシュと激しく戦った。二人の戦いは長期化し湖を出て海に至るまでに及んだが、苦労の末コヨーテはウィッシュプーシュの心臓を突き刺し退治することに成功した。この時の激闘によって川には大きな溝や峡谷が出来たという。またコヨーテはこの時ウィッシュプーシュの巨大な体から新しい部族、つまりネズパース族、チヌーク族、クリキタット族、ヤキマ族を作り出したという。

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ヴィネ

Vine

ユダヤの魔神でソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。クサリヘビを手に持ち、黒い馬にまたがったライオンの頭を持つ男の姿で現われるため、「獅子頭王」と称される。召喚により堅固な要塞や塔を築いたり、他の者が立てた壁や建物を嵐を起こして破壊したりしてくれるという。また召喚者が他の魔術師に対抗するために重要な要素となる、「他の魔術師の名前」を明かしてくれる唯一の悪魔だという。その他にも魔法の存在を感知する能力や、過去、未来、現在にわたる全ての秘密に関する知識をもっているともされる。

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ヴィヒトライン

Wichtlein

ドイツ南方に伝わる鉱山の妖精。名前は「小さな生き物」といった意味。彼らヴィヒトラインの住む鉱山には豊かな鉱脈があるとされる。ただヴィヒトラインが石を打ったり土を掘ったりしている音が聞こえてくることは災害の起こる前兆であるとされる。また三回だけ叩く音が聞こえた場合は鉱夫が死を警告しているとされる。ヴィヒトラインは12cmほどの背丈の小さな老人の姿で、鉱夫と同じような格好をしており小槌やハンマー、ランプを持っているとされる。ヴィヒトラインを信じる鉱夫達は日々彼らのために食べ物を用意し一年に一回赤いマントを贈る。

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ウィメメアウア

Whee-me-me-ow-ah

北米のネイティブアメリカンに信じられている、「偉大なる天上の長」。世界の始めの時、世界には水だけしかなく、そこにウィメメアウアは住んでいた。彼は、世界をつくろうと浅いところで泥を手にとっては投げつけて陸を作った。大地に木々を生やし、球形の泥から男を創った。さらに男が寂しがると、伴侶として女を創った。男には狩りの方法を教え、女にはカゴの作りかたや調理の仕方を教えた。また、女が男を喜ばせる何かを得たいと思いウィメメアウアに祈ると、ウィメメアウアは女に息を吹きかけた。すると女は見たり触ったり出来ない何かを授かった。ところがこの男女は喧嘩を始め、あまりにも口わずらわしかったので、母なる大地は怒り山々を揺さぶり、沢山の動物や人間が死んで山々の下に埋まってしまった。先祖の信仰を守った遺骨だけが山の下に保存され、いつの日かウィメメアウアによって山々がひっくり返され、霊が骨に戻ることができるという。

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ウィヨット

Wiyot

アメリカのカリフォルニア南部に住むネイティブアメリカン、フアネニョ(アクジャチェメン)族などの神話に登場する創造神。現在の人類より前の人類を生み出した神であったとされる。ウィヨットはコヨーテにより毒で殺され、火葬の際にはコヨーテに肉を食いちぎられたと伝わっている。

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ヴィラコチャ

Viracocha

インカに伝わる汎アンデス的な最高神にして創造神。「ウィラ・コチャ(Wira Qocha)」とも呼ばれる。世界と人類、そして森羅万象の創造者であり、どこにでも姿をあらわす不可避の神であるが、観念的には遠い存在であり、内在的だが根源的な創造者である。ただ、しばしば長い髭を生やした老人の姿や、稲妻の矢を持ち太陽の王冠を被り雨の涙を流す姿などで表された。クスコにあるヴィラコチャを祀った神殿にあるその黄金製の神像は、成人男子のおよそ4分の3の大きさだった。この神像を最初に目にしたスペイン人は、「ヴィラコチャは白い肌をしており、髭を生やし、長いチュニックを着けていた」と記録している。

インカ人にとってヴィラコチャは俗世からかけ離れた遠い存在であり、インカ人にとっては名のない存在だった。しかし、創世神話のなかで彼は様々な姿をとってあらわれ、その役割にふさわしい修飾語で呼ばれていた。たとえば、「イリャ(光)」、「ティクシ(物事の始まり)」、「ヴィラコチャ・パチャヤチャチック」ないし「ウィラコチャ・パカヤカシック」(偉大な王、世界の指導者)、タラパカなどである。スペイン人の年代記者達は、この一見して混乱している状態におそらく当惑したのだろう。年代記者達は彼に「ヴィラコチャ」という総称を与えた。本来、「ヴィラコチャ」という言葉自体も、「創造の湖」、「海の油」、「海の泡」などと解釈すべきものであり、彼という神に捧げられる祈祷文に使われる呼びかけの一つに過ぎない。

伝承によればヴィラコチャは最初暗闇の世界をつくり、石で拵えた人々をそこに住ませた(一説には巨人だったとされる)。しかし彼らはヴィラコチャに従わなかったので洪水で破壊されあるいは石に戻された。ティアワナコやプ殻の巨大石像はこの石に戻された人々であるとされる。石で拵えられた人々は一組の男女だけが生き残り、かれらは神々の住むティアワナコへと移されたとされる。次にヴィラコチャは粘土から現在の人々や動物を創った。住民と国を区別するためにヴィラコチャは彼らに異なる服を着せ、異なる習慣や言語、歌などの文化を与えた。ヴィラコチャはこれらの人間に命を吹き込むと、地下に下りてばらばらになり、洞窟や湖、丘からまた地上に出てくるように命じた。こうして人々が出てきたとされる湖などは聖地とされ、そこに神々を祀る神殿が建てられた。だが世界はまだ暗かったので、ヴィラコチャは太陽と月と星に対して、ティティカカ湖の島から天空に登るように命じた。 こうしてヴィラコチャは創造を終えたが、その後も人々に教えや文化を広めるためにティティカカ盆地から旅に出た。彼は乞食の姿になって旅をしたが、出会った人間の多くは彼の身なりを見て冷たくしたり罵ったりした。しかし彼はそのたびに彼らに人間のあり方を教え、奇跡を起こして見せた。

インカにおけるヴィラコチャ(コニラヤ・ヴィラコチャ)は中央アンデスの多くのプレ・インカ文化における神体系に登場する、古代の創造神に対する究極的な称号となっていた。これはインカ人が征服した文化から取り入れられたものであり、特徴的な涙を流す神像の目は、明らかにティアワナコの通称「泣き神」と呼ばれている神像の特徴を取り入れている。後期インカになるとヴィラコチャは次第に名声を失い始めるが、それでも彼が無視されるようなことはなかった。新皇帝の即位式などの重要な儀式の際には、ヴィラコチャには人間の生贄が捧げられた。カパコチャと呼ばれる子供の生贄は特にヴィラコチャに捧げられ、この生贄の前で神官はヴィラコチャに特別な祈祷を捧げた。

後期インカでは世界は5回創造されたと考えられた。最初の時代はヴィラコチャの他の神々によって支配され、死というものが全く存在してなかった。台の時代はヴィラコチャによって創造された巨人の時代で、彼らはヴィラコチャの機嫌を損ねたために洪水によって滅ぼされた。第3の時代はヴィラコチャによって作られた最初の人類が住んでいたが、彼らの生活には文明はなかった。第4の時代はアウカ・ルナ(戦士たち)の時代でモチェ文化のような初期文明の創設者達の時代を指す。第5の時代はインカ人自身の時代であり、彼らは征服によって文明を広範囲に広めた。ヴィラコチャは現在のエクアドルにあるマンタに到着すると、そこから西に向かい、海をまるで地上を歩くように歩いて太平洋を渡っていった(いかだに乗っていった、自分のケープに乗っていったなどの説もある)。第5の時代はスペイン人の到来とインカ帝国の滅亡によって終わるが、スペイン人が到来したとき、彼らはヴィラコチャの使者たちが帰還したとして歓迎され、「ヴィラコチャたち(viracochas)」と呼ばれた。

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ヴィラコチャ・パチャヤチャチック

Viracocha Pachayachachic

インカに伝わる汎アンデス的な最高神ヴィラコチャに対してインカ人が与えた数多くの名称の一つ。字義は「世界の偉大な王であり支配者」。「ウィラコチャ・パカヤカシック(Wiraqoca Pacayacaciq)」とも。

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ヴィーラバドラ

Vīrabhadra, Virabhadra

インド神話に登場する、シヴァが生み出したとされる恐るべき怪物。名前は「賞賛すべき戦士」といった意味を持つ。シヴァがサティーと結婚したとき、サティーの父親であるダクシャはシヴァを卑しい神だと差別し、大事な祭りにシヴァを呼ばなかった。サティーはこれを嘆き聖なる火に身を投じて死んでしまった。シヴァは怒り狂い、1000個の目と足と腕を持ち、わき腹から角の出た巨人、ヴィーラバドラを産みだした。ヴィーラバドラは神々を震え上がらせ混乱させた(シヴァ自身が暴れまわったとする伝承もある)。

また別の伝説ではシヴァの従者として登場し、「ニーラ(Nīla)」という魔神を退治している。

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ヴィラ・ビロン

Virra Birron

オーストラリアの先住民族、アボリジニーに伝わるつむじ風の精霊。「ウィリー・ウィリー(Willy-willy, Willi willi, Willy willie)」の名でも知られる。荒々しい旅人の精霊であり、通る場所にあるものを全て引き抜いて奪ってしまうため友人はおらず常に一人であるとされる。ヴィラ・ビロンが早く進めば進むほど、より強く、より高い竜巻となってあらわれる。たまに立ち止まった時でも、一人で踊ったりその場でぐるぐる回ったりし続けるだけで、また旅に出るという。

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ヴィラムバー

Vilambhā, Vilambā

ヴィリ

Vili

北欧神話においてヴェーとともに主神オーディンの兄弟で世界を創造した神の一柱。ブーリの息子であるボルと、巨人族の女であるベストラから生まれた。彼等三兄弟はトネリコとニレの木から人間を創造し、様々な能力を付与したが、ヴィリはそのうち知性と感情を人間に与えた神とされる。

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ヴィリプラカ

Viriplaca

ローマの神で夫婦喧嘩の守護女神。ローマにはごく些細な事まで守護神が存在したが、ヴィリプラカはその一人である。ローマ人は夫婦喧嘩の収拾がつかなくなった場合、二人してヴィリプラカの祀ってある祠に向かう。この祠には祭司などが居るわけでもなく、女神の像が置いてあるだけだが、祠の前では一つの約束事がある。それは一人が喋っている間、決してもう一人は喋ってはいけないというものだ。この約束事により、それぞれ大きな声で自分の意見を主張し、その間もう一人は冷静に相手の意見を聞くことが出来る。

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ウィル・オ・ザ・ウィスプ

Will o'the Wisp

ヨーロッパの広範囲に渡って幽霊が現れる前に出現するとされている青白い火の玉。「イグナス・ファチュアス(Ignis fatuus="愚かな炎"の意)」とも呼ばれる。かつてウィルという酷い悪人が他人に恨まれ殺されたが、死後に聖ペテロを騙し、生まれ変わって第二の人生を生きる事となった。しかし彼は新しい人生でも悪いことを繰り返したため天国へも地獄へも行けず、その魂は現世を永遠とさまようこととなった。これに悪魔が同情し、地獄の業火から少し炎を分け与えた。この炎がウィル・オ・ザ・ウィスプだという。

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ヴィルカタ

Vilkatas

リトアニアの民話や伝承における狼人間。「ヴィルコラキ(Vilkolakis)」とも呼ばれる。ラトヴィアでは「ヴィルカチ(Vilkacis)」と呼ばれる。恐ろしい怪物とされるが、たまに気に入った人間には自分の溜め込んでいる宝物を分け与えてくれるともされる。

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ウゥルカヌス

Vulcanus, Vulcan

ローマにおける火と鍛冶、炉の神。シチリア島のエトナ山はウゥルカヌスの鍛冶場のある場所とされていた。イタリアのサビニ人に信仰されていたと考えられている。毎年8月23日には、魚や小動物を火の中に投げ入れるウゥルカヌスの祭礼「ウゥルカナリア」があった。共に家庭の炉の神であるマイアヴェスタに関連があった。ギリシア神話のヘパイトスに相当する。

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ヴェー

北欧神話における始まりの神の一人。ブーリの息子であるボルベストラの子でオーディンヴィリとは兄弟で創造神である。彼等三兄弟は祖父にあたる原初の巨人ユミルを殺してその体を元に世界を創造した。またこの三兄弟は人間も創造しており、ヴェーは人間に見たり聞いたりする能力を与えた神だとされる。

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ウェイランド

Wayland

アイスランドの叙事詩「エッダ」に出てくる鍛冶の神あるいは鍛冶師。「ヴェルンド(Völundr)」、「ウェイランド・スミス(Wayland Smith)」とも呼ばれる。

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ウエウエコヨトル

Huehuecoyotl

アステカ神話において、乱痴気騒ぎをもたらすトリックスター。名前は「年老いたコヨーテ」を意味する。音楽と踊りとセックスを司る神であり、芸術家や職人の守り神とされたが、この神を信奉する者は時に堕落して人生を誤ることもあるとされた。

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ヴェスタ

Vesta

「ウェスタ」とも。ローマにおいて、ギリシアのヘスティアと同一視されたかまどの女神。また家庭の炉の守護神としても、儀式において火の化身としても崇拝された。ヴェスタに使える巫女は処女であることが求められた。神話の中ではあまり登場しないヴェスタだが、ローマの守護神とも考えられていたためにローマ市内には大規模なヴェスタの神殿が存在し、有力者はこぞって寄進をした。特に多くの女性たちがヴェスタを守り神として崇拝した。6月7日にはヴェスタの祭礼「ウェスターリア」が催された。デイ・コンセンテスの一柱だと考えられている。

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ウエチャーナ

Huechaana

峡谷サポテカにおける母神。「ウィチャーナ(Huichaana)」、「コチャーナ(Cochaana)」、「ノウィサナ(Nohuiçana)」、「ノウィチャナ(Nohuichana)」、「ピタオ・ウィチャーナ(Pitao Huichaana)」などの別名がある。またチチカパではウィチャナタオに等しい。配偶神であるコサーナとともに子供と関わっている。狩猟や漁労とも関連しされ、猟師、漁師は仕事の成功を祈り女神に生贄を捧げた。またピチャントと同様にピチャナ・ゴベチェと人間との間を仲介する役目を負っていた。

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ウェヌス

Venus

ローマ神話における庭園と耕作地の女神。、ギリシアのアフロディテと同一視される。英語読みの「ビーナス」で知られている。ローマ帝国にとってとても重要な神で、ローマ皇帝はウェヌスの末裔だとされている(途中で何回も養子を取っている為血が繋がっているわけではないし、神話上のことだが)。息子であるクピドとともに描かれることが多い。ウェヌスはデイ・コンセンテスの一柱と見なされている。

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ウェネボジョ

Wenebojo

ウィンコンシン州に住むネイティブアメリカン、チッペワ族を始めとする南部オジプワ族ではナナブッシュのことをこう呼ぶ。

チッペワ族では、ウェネボジョは凍えて死にそうだった一人の老婆がヘラジカ(ムース)の死骸からつかみあげ手袋にしまっておいた血の塊からこの世に出現したとされている。彼は出現するやいなや、小さなウサギに変身して巨大な海を渡り、老婆のためにそこに住んでいた人々から火を盗んできたという。また南部オジプワ族に伝わる話では、自分の娘を騙して結婚した彼は、後になってそのことを恥じ、共食いするというカワマスの口の中にコソコソと入ってしまい今でもそこにとどまっているという。

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ヴェパル

Vepar

ユダヤの魔神でソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。「ヴェファル(Vephar)」、「セパル(Separ)」とも呼ばれる。長い髪に海藻を絡ませた人魚の姿で現われるため、「海洋公」と称される。また人間の姿をとることもでき、この場合は美しい女性の姿になる。海を支配する力を持ち、人を溺死させたり船を沈めたり、大嵐を起こしたりと海上・海中では万能に近い力をもっているとされる。魔術師マイケル=スコットによれば、ヴェパルはにらむだけで人に傷を負わせ、なおかつその傷に蛆をわかせ三日のうちに殺す力が持っているという。

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ウェプワウェト

Wepwawet

エジプト神話において、オシリスイシスの間に生まれた子で、オシリスの補佐役とされる神。「ウプウアウト」とも呼ばれる。名前は「道を開く者」という意味を持ち、戦端を切り開く神あるいは死者に冥界への道を示す神だと考えられた。このことからウェプワウェトは「二つの国を開く者」と称される。元々は上エジプトの第13ノモスの州都であるアシウト(リコポリス)の守護神であり、大盾の上に立つ黒いジャッカルあるいは犬、ないし黒犬の頭を持つ男の姿で表される。この姿は同じくオシリスの息子であるアヌビスの姿に酷似している。兵士たちを導く女神ネイトと関連視される。

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ヴェーヤスマーテ

Vējasmāte

ラトヴィアの民間信仰における女の精霊の一つ。風のマーテ(母)。ヴェーヤスマーテと対となる男の風の精霊は「ヴェヨパティス(Vejopatis)」と呼ばれる。

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ヴェルダンディ

Verdandi

北欧神話における運命の女神「ノルン」の三人いる長の二人目。名前は「紡ぐ者」という意味で、必然や結果を司るとされている。

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ウェレ

Wele

ケニアのアバルイヤ人に信仰されている至高神。名前は「高い者」という意味。「カカバ(Khakaba=分配する者)」、「イサイワ(Isaywa=神聖な儀式を捧げられる者)」とも称される。天を含め全宇宙を六日で創造した。月や太陽、最初の人間である男ムワンブ(Mwambu)やセラ(Sela)を作ったのもウェレである。

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ウェレ

Were

ケニアのルオ人に信仰されている至高神。語義は「恵みの父」。数多くの名を持つ神で(下記参照)、人間の誕生と死の両方に関与し、自然を支配している。太陽や月もウェレと考えられる。悪いことをした者に対しては雷を使って罰を与えるとされる。ウェレに対する供犠は「ウェレが認められる」大きな木の下で行われる。

《ウェレの別名と語義》
名前 語義
ウォンワ

我々の父

ウォン・クウェレ

祖先達の父

ウォン・ジ

全ての父

ジャ・ムリマ

癇癪持ち

ジャングウォノ

親切な者

ジャヘラ

慈悲深い者

ニャカラガ

古い者

ジャネン

見る者

ウォン・オゲンディ

全ての人々の父

ウォン・ロウォ

大地の主

ホノ

奇跡を起こす者

ラテゴ

全能者

ジャルウェニー

偉大な戦士

ポロ

天空神

ピニー・クニャル

征服されざる者

ウォン・オル

未来の主

ルオド・ルオディ

諸王の王

ワン・チェン

太陽の目

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ヴェーレス

Veles

東スラヴにおける家畜神であり軍神。「ヴォーロス(Volos)」ともいう。キエフやロシアで信仰された。元は動物を守り家畜を増やしてくれる神だったが、スカンジナビアの軍神崇拝に影響を受けたものか、軍神ともされるようになった。このため古代のキエフ・ロシアでは、戦士たちは「雷神と獣の神ヴェーレスの加護を祈って」敵と戦ったという。その後、キエフ大公であるウラジーミルの時代に、ウラジーミルがキリスト教に帰依したため、キエフの丘に立っていた雷神ペルーン以下六柱の神像はことごとく河中に投じられたが、この中にヴェーレスの像はなかった。これはペルーンが戦士階級の神であったのに対し、ヴェーレスはもともと庶民の神であったためその神像は丘の上ではなく、ふもとにあったためと考えられている。このためロシアのキリスト教化以後もヴェーレス信仰は残り、19世紀以降になっても農婦たちによって収穫の際「ヴェーレスの髪を縮らす」といわれる、一束の麦を畑に残す風習があった。

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ウェンディゴ

Wendigo

イヌイットやオジブワ族などに伝わる怪物、ないし恐ろしい精霊。「ウィエンディゴ(Wiendigo)」、「ウィンディゴ(Windigo)」とも。ウェンディゴは災厄の前兆であり、ウェンディゴが現れると誰かが病にかかったり、高熱を出して死んでしまったりといったことが起こる。反対にウェンディゴを倒しさえすれば、病が治るとされる。伝説では獣の熱い油で満たした穴にウェンディゴを落としたところ、心臓が溶けて死んだという。アルゴンキン族の伝承では食糧を持たずに道に迷った猟師が、人間を食べてウェンディゴに変容したとされる。カナダのベレンス湖に住むとされたウェンディゴは水陸両棲の怪物で、漁の網を破って魚を捕れなくするとされる。

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ウエンレラ

 

アイヌに伝わる風の精霊。名前は「悪い風」の意で、小さな竜巻のような風のことを指す。畑などにウエンレラが来たときは悪さをする前に鎌を投げつけたという。こうするとウエンレラは消え、鎌には血がついているとされる。

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ウォイシュン

Woi-shun

北ミャンマーのカチン族(中国で言う景頗(チンポー)族)の世界創世神話に見える精霊。シクソープクリプクロープから、チャヌムとともに生まれた。チャヌムと一緒に天地の万物、また大地や空気や水の精霊、家庭や作物の精霊、病気の精霊を生み出したという。またゴーンワマガムを産みだしたのも彼らだという。

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ヴオコー

Vuokho

スカンジナビア北部、及びフィンランドにすむラップ人に伝わる怪鳥。雷のような音を出す、大きな翼をもった巨大な鳥で、人間をも捕獲して食べてしまうという。

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ヴォジャノーイ

Vodianoï

スラヴ地方の水の精霊。「ヴォジャニク(Vodyanik)」、「ヴォジャヌイ(Vodyany)」とも呼ばれる。人間よりひとまわり程大きい魚やカエルなどの似姿に、緑のヒゲや苔をつけた姿が一般的だが、巨人や長いヒゲの老人、美しい女性、沼に浮かぶ丸太などの姿もとるとされる。川の流れを狂わす水車や堰が嫌いで、壊したり、日照りにして水車を回らなくしたりする。この場合、人間を生贄として捧げなければ鎮まらない。好物は人間だが、大型動物で我慢することもある。主に夕方頃から活動を始めるので、その時間帯に水辺に寄り付かないようにすれば、他の場所に移るという。あまり長い時間は水場の外に出られないので、民家は襲わないのだという。ルサールカはヴォジャノーイの女性形とされる。

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ウォーターリーパー

Wator Leaper

イギリスのウェールズ地方にある沼沢地に棲むという妖精。「Leaper」とは「飛び跳ねるもの」といった意味。「サムヒギン・ア・ドゥール(The Llamhigyn y dwr=水を跳ね渡るもの)」とも呼ばれる。手足の無い巨大なヒキガエルに長く先細りとんがった尻尾と2枚の発達した羽状のヒレを持った姿をしており、そのヒレを使って沼地をバチャバチャと跳ね回る。アルビノのように白い姿をしているともされる。淡水魚の守護霊とも考えられており、網を破いたり、釣り糸を切ったりするとされる。身の危険を感じると鼓膜もやぶれんばかりの甲高い叫び声を発し、この音を聞くと死んだり、金縛りになったり、あわてて沼に落ちたりところをこの妖精に食べられたりしてしまう。

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ヴォフ・マノ

Vohu Mano

古代ペルシア神話におけるアメサ・スペンタ(聖なる不死者)の一人。「ウォフ・マナフ(Vohu Manah)」の名でも知られる。またマニ教徒には「ワフマン(Wahman)」として知られる。語義は「良き思い」、「善の霊」。ゾロアスターの宗教改革以前の時代に崇拝されていた神だと考えられている。他のアメサ・スペンタとともに唯一神霊アフラ・マズダの持つ様々な顔の一つだとされ、絶対悪アンラ・マンユに対立する。アメサ・スペンタの筆頭スプンタ・マンユに次ぐ高位の存在とされた(第一位とされる場合もある)。ヴォフ・マノは自分の霊をアフラ・マズダに移すことにより、自らの霊的な進化を果たしたといわれる。ヴォフ・マノは有益な動物(特に牛)を治める役割を担っており、雌牛の姿で表されることが多い。

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ウォンジーナ

Wandjina, Wondjina, Wondina

オーストラリア北西部の北部、キンバリー地区に住むアボリジニの神話に登場する、ウングット(=ドリームタイム)に存在した精霊。"虹蛇"とは別の、雨と雲の精霊であるとされる。ウォンジーナは今オーストラリアに存在する何かの前身であり、例えば、「ワシタカのワラナ」はウォンジーナの一匹であったし、ワラガンダという名のウォンジーナは天に昇って天の河になった。岩絵に描かれたウォンジーナは全て頭部に赤や黄色の太い帯で輪郭が描かれており、まるで後光のように見える。両目と鼻は連結し、口は無い。口が無いのは、ウォンジーナに口があると絶え間なく雨が降り続けるからだとされる。

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翁杰 ウォンチェ

Wēng-jié

中国の少数民族、布依(プイ)族において世界を創造した最高神。原初の時代、翁杰が息を吐くと風になり、軽いものが浮き上がり、重いものが下に落ちることで天地が誕生した。また人間の祖となる二匹の猿を生み出したのも翁杰とされる。

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宇賀神

うがじん

日本の仏教における福神。「うかじん」とも読む。三施(三種のお布施のこと)の一つである「財施(ざいせ=金品などのお布施のこと)」の音訳「宇賀耶(うがや)」が神格化されたものだとされる。すべての衆生に福徳を授け、菩提(悟り)に導くとされる。顎鬚の生えた男の頭の、とぐろを巻く蛇の姿で表され、単体で祀られるほか、弁財天の宝冠となった姿で知られる。弁財天と同一視されるほか、発音の類似から宇迦之御魂神と同一視され、食物を司る神ともされる。また奇瑞(良いしるし)とされる白蛇を起源とする説もある。

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宇迦之御魂神

うかのみたまのかみ

日本記紀における食物神の一人。「古事記」には「宇迦之御魂神」と記述され、須佐之男命神大市比売との間に生まれた子とされる。「日本書紀」では「倉稲魂命(うかのみたまのみこと)」と記述され、伊邪那岐命伊邪那美命の間に生まれた子とされる。「うかのみたま」とは「稲魂」とも書き、穀霊を神格化した神であるとされる。また、「うか」あるいは「うけ(け)」は「食」にも通じ、「豊宇気毘売神(とようけびめのかみ)」や「保食神(うけもちのかみ)」などのように、稲や穀物の神は多くこの語を含む。また倉稲魂命の「倉」は「食」の写し損じがそのまま伝わったものではないかと考えられている。

稲荷神の信仰が広く浸透するにつれ、昔から信仰されていた穀霊神である宇迦之御魂神はその信仰に吸収され同一視されるに至った。現在稲荷社に祀られる祭神は宇迦之御魂神と同一視される神である。また発音の類似から宇賀神と混同、同一視される。

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鵜葺草葺不合命

うがやふきあえずのみこと

日本記紀神話の神。正式には「天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命(あまつひこひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)」(「古事記」の表記)、「日本書紀」では「彦波瀲武鹚鸕草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)」と表記する。「天孫」邇邇藝命の孫に当たり、父は日子穂穂手見命、母は豊玉毘売命である。「鵜葺草葺不合」という名前は豊玉毘売命が彼を出産の折、産屋の完成が間に合わずに彼を産み落としたことから来ていて、「茅葺が間に合わなかった神」といった意味。豊玉毘売命は日子穂穂手見命に約束を破られ正体を見られたことを恥じて海に帰ってしまったため、鵜葺草葺不合命は代わりに豊玉毘売命の妹である玉依毘売命に育てられた。彼はその玉依毘売命と結婚してその間に五瀬命稲氷命御毛沼命、そして神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびこのみこと)、つまり後の神武天皇をもうけた。

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ウグウブ=クエンゴ

Ugwvu-Cuengo

ブラジル中部のシング川流域に住むクイクル族の神話に登場するハゲワシの王。カナッサに脅されて世界に光を灯す手伝いをした。

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烏倶婆誐童子

うぐはぎゃどうじ

「うぐはかどうじ」とも読む。仏教において不動明王の眷属である八大童子の一尊。「憂丘婆丘(うくはく)」とも称する。「烏倶婆誐(うぐはぎゃ)」とは「ウグラバガ(Ugra-bhaga)」の音写で「強敵」や「凶暴な者」などを意味する。「八大童子秘要法品」に拠れば、金剛波羅蜜すなわち菩提心から生じた使者とされる。金色の身色で五股冠を頂いた暴悪の形相で、右手に三鈷杵を持ち左手で拳印を作った姿で表される。

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ヴクブ・カキシュ

Vucub Caquix

マヤの一部族キチェ・マヤ族に伝わる聖書「ポポル・ヴフ(Popol Vuh)」に見える巨魔にして神々の敵対者。「Vucub Caquix」とは「七匹のオウム」という意味だが、これが何を意味するのかはわかっていない(この事から巨大な怪鳥として描かれることもある)。地平線にまで届くほどの巨体で、エメラルドで出来た歯と金と銀で出来た輝く身体を持っており、ナンセという木になる白いさくらんぼを食べて生きていた。「チマルマト(Chimalmat)」という名の妻とシパクナカブラカンという名の子供がいる。かなりの乱暴者で怒りっぽく、傲慢な性格で自分が世界の中心だと考えていて、神々が人間を作ろうとしているのを知ると、これから誕生する人間たちの支配者になろうと企んだ。このため、子供ともども「フンアフプー(Hunahpu)」と「イシュバランケ(Ixbaranque)」という人間の双子によって倒される事になる。

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ウグミ

 

奄美群島与論島において、赤ん坊を身ごもったまま死んだ女性の幽霊のこと。名前は「胎児を体内に篭めたまま、産み込めたまま」の意と考えられる。夜中に子供の腹を抱いて泣かせながら道を歩き、人に出会うと子供を抱いてくれ、草履を貸してくれとせがむ。子供を抱いて、草履を貸してやると、鼻緒が切れるまで帰ってこないという。なので、草履を貸す時は鼻緒を切って貸したり、或いは預かった子供をつまんで泣かせてみるとウグミはすぐ戻ってくるという。

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ウクラン・トヨン

Ukulan-tojon

シベリアのレナ川流域に住むヤクート族において、全ての水霊を統べる権威ある水霊。ヤクート族では水は尊いもので崇める対象であった。川などで身体を洗ったり洗濯をしたりすることは水霊に対する冒涜と考えられた。

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保食神

うけもちのかみ

記紀神話における食物の起源とされる女神。「保食神」は日本書紀の表記で、古事記では「大宣都比売神(おおげつひめのかみ)」と表記される。「ウケモチ」の「ウケ」は「食(ウケ・ウカ)」、「オオゲツヒメ」の「ケツ」は「食つ(ケツ)」の意。伊邪那岐命伊邪那美命の間に生まれた神の一柱。ただ、古事記では大宜都比売が生まれる記述は二回出てくる。その一つは国産みの際に生まれた、「阿波の国」の尊称として、である(「阿波」とはつまり粟であり、穀物であることからの連想と考えられる)。

月読命須佐之男命だとされる場合もある)が天照大御神の命によって保食神を訪ねた時、保食神は大いに張り切って月読命のための食事を用意した。つまり米や魚、獣を自分の口から出して、それを机の上に盛った。これは保食神にとって最高のもてなし方だったが、月読命は「口から出した汚いものを私に食べさせるのか」と激怒し、保食神を持っていた剣で切り伏せてしまった。当然保食神は死んでしまったが、その体からは穀物や食糧となる獣が生じた(いわゆるハイヌウェレ型神話)。また繭を口に入れて引き出すと糸となった。この説話により、保食神は食物神ひいては料理一般を司る神であり、また養蚕を司る神とされる。食物を司る神は「御食つ神(みけつかみ)」と呼ばれ、保食神と宇迦之御魂神はこの代表的なもので、二柱は同一神とされることもある。

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ウコバチ

Ukobach

ユダヤの魔神。「ウコバク」とも発音する。地獄の釜の火を絶やさないように油を注ぎ込む。全身炎に包まれている。また、別の説によれば、地獄に落ちた人間を責めるために、石炭をくべるという。

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兎狸

うさぎだぬき

徳島県の三好市に伝わる化け狸の一種。吉野川沿いにある高岡と呼ばれる小さな丘に棲んでいて、人を見ると兎に化けて誘い出すとされる。兎だと思って追いかけても中々捕まらないので化かされた者は丘を何回も走り回されることになる。

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于児 うじ

Yú-ér

中国において最古の地理書とされる「山海経」に言及される神の一人。中山の夫夫山にある江淵におり、体から二匹の蛇が生えた人間の姿をしているという。この神が淵から出入りすると光が放たれるとされる。

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烏什卡 ウシカ

Wū-shí-qiǎ

中国の少数民族、赫哲(ホジェン)族において天神に次いで崇拝されている神。「三星神」ともいわれる。清潔な神であり、病気になった人々は烏什卡を祀って厄祓いしなければなら無いとされる。

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ウシャス

Ushas, Uṣas

インドの聖典「リグ・ヴェーダ」に見える神。暁の象徴で、ヒンドゥー教の大地の女神プリティヴィーの娘(プラジャーパティの子にして妻とされることもある)。夜の女神「ラートリー(Rātrī)」の妹。また、スーリヤの母または恋人とされ、常にうら若い美女として「リグ・ヴェーダ」における女神中最も顕著な存在であり、豊かで活発な生命力をもたらし、リタ(天則)を誤らず、時を違えず、太陽の先駆として暗黒を退ける。その力は闇を退けるが、反対に老いの源でもあるといわれる。ウシャスはいつまでも年をとらず永遠に美しい姿を保っているが、これはウシャスが毎朝生まれ変わっているからである。ウシャスの出す光によって、人間は真理の道を見つけ出すことが出来るという。暁の神として毎朝世界中の全ての生物を起こすのが彼女の役目である。

「リグ・ヴェーダ」の中で、ウシャスは薔薇色の衣装と金色のヴェールをまとった花嫁として描かれている。さらに、踊り子として宝石を身にまとっていたり、水浴びを終えようとしている美しく若い女性として描かれていることもある。ウシャスは薔薇色の牝牛や馬に引かれた馬車を御すが、これらの動物は暁に輝く雲を表している。

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ウジャト

Vaget

古代エジプトのコブラの姿をした女神。「ワジェト(Wadjet)」、「ウト(Uto)」とも呼ばれる。元々は下エジプトの第6ノモスの州都ブトで信仰されていたと思われる古い神で、彼女の姿は最高神レーの頭にあるウラエウス蛇だと考えられ、その強烈な毒によって敵を打ち倒すとされた。彼女を崇拝していた下エジプトが上エジプトと争っていた時、上エジプトではハゲワシの女神ネクベトが崇拝されていた。このため上下エジプトが統一された時、コブラとハゲワシの並んだ姿が国王のしるしとなり、国王はウジャトの赤い冠とネクベトの白い冠を同時にかぶったという。神話の中ではイシスセトに殺されたオシリスの死体を探す間、イシスの息子であるホルスを預かり乳母として育てたのがウジャトとされる。レーの娘の一人であり、セクメトハトホルと同一視されることが多い。とぐろを巻くコブラ、或いは蛇か雌ライオンの頭を持つ女性の姿で表される。

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ウシュム

Ushum

バビロニア神話において、ティアマトマルドゥークに対抗するために生み出した11の怪物の一つ。アッカドでは「バシュム(Bashmu)」と呼ばれ、角の生えた毒蛇とされる。人間を襲う凶暴な存在であるが闘争終結後は冥界神ネルガルの支配下にあるという。

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ウシュムガル

Ushumgallu

バビロニア神話において、ティアマトマルドゥークに対抗するために生み出した11の怪物の一つ。竜または大蛇の姿をしていると考えられる。またムシュマッヘと同一の存在を示す可能性がある。「エヌマ・エリシュ」によれば恐怖と煌きを身に纏った竜だという。

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烏芻沙摩明王 うずさまみょうおう

Ucchuṣma

仏教において金剛界曼荼羅の一尊であり不浄を転じて清浄とする明王。梵名を「ウッチュシュマ(Ucchuṣma)」と称し、「烏芻沙摩」はその音訳。他に「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」、「烏枢渋摩明王(うすしまみょうおう)」、「烏枢瑟摩(うすしま)」とも音訳表記する。また名前の意味と尊格から「不浄金剛(ふじょうこんごう)」、「穢積金剛(えしゃくこんごう)」、「火頭金剛(かとうこんごう)」、「穢跡金剛(えせきこんごう)」、「除穢忿怒尊(じょえふんぬそん)」などの名でも呼ばれる。形相には異同があるが、目は赤く、身は黒く、四臂で、火炎に包まれ忿怒の相を示す。主として安産または出産の不浄を払う効験を持つとされるが、密教、禅宗などでは穢れを浄化することから便所の守護神とされ、便所に烏芻沙摩明王の札を置くことが今でも多々有る。平安時代においては祈念すれば男子を授かるという修法「烏芻沙摩変成男子法(うずさまへんじょうなんしほう)」の本尊として祈祷が行われた。

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ウッコ

Ukko

フィンランドの叙事詩「カレワラ」に登場する天の神。雷神でもある。空に散らばるあらゆる雲を統率し、晴れた日の白雲も、雨を降らす黒雲も思いのままに動かす。天そのものであるからしてその性格は天のように気まぐれであり、祈りを聞き届ける時も聞き届けない時もある。勇者に力を貸すときもあれば悪者に力を貸すときもある。だがいったん祈りを聞き届けるとその力は凄まじく、天に裂け目を作り氷、雹、あげくに鉄塊までも降らせることがある。

ウッコはまた、「ユマラ(Jumala)」とも呼ばれるがこの二つの神格は元々別だったと考えられている。「カレワラ」に登場する英雄たちは、苦境に陥って神に願い事(特に物騒な願い事)をする時は神をウッコと呼び、苦境を脱し幸せを得たことを神に感謝する時は、神をユマラと呼ぶことが多い。

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ウッタラシャーダー

Uttarāṣāḍhā

ウッタラバドラパダー

Uttarabhadrapadā

ウッタラファルグニー

Uttaraphalgunī

ウティホ

Utixo

南アフリカのコイコイ人の信仰する天空神。天候を支配する神であり、降雨はウティホの慈悲の顕れである。雷を声にして人間に意思を伝えるとされる。

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ウトゥック

Utukku

バビロニアにおける邪悪な精霊。死者の魂であるエディンムのうち、死ぬときに葬式をしてもらえなかった者が恨みからウトゥックになり、生きるものに苦痛を与え復讐をする。彼等のようなウトゥックは改めて葬儀をやり直す(キスプ)と、鎮めることが出来る。しかし、より下層の世界アラルからやってきたウトゥックや、エア神の噛み付きから発生したウトゥックは彼等より更に邪悪で、世界に病気を広げたり、人々の心に邪悪な考えを吹き込んだり、家族間に不和をもたらしたりする。彼等は「明るい日を暗闇に変える風」などに例えられ、容易には鎮められないが、退魔師(アシプ)がエアの名の元に呪文を唱えると追い払うことが出来るという。

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ウネカウ

Wunekau

ニューギニアにおいて、多くの信仰で信仰される太陽神であり創造神。あらゆるものを作ったとされ、その名は最大級の尊敬を持って口にされる。大地は大洪水の後にウネカウが珊瑚礁を浮上させて作った。この時に干上がった魚の死体から人間が生まれたという。風を送って女性を妊娠させる神でもあり、また巨大な蛇のマケはウネカウの顕現体であるとされる。ニューギニアではウネカウの他にも蛇が神とされる場合が多い。

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宇乃治比古命

うのちひこのみこと, うのじひこのみこと

「出雲国風土記」に見える神。同訓で「宇能治比古命」、「宇能遅比古命」とも書く。須義禰命の子神であり、地名の由来譚として楯縫郡の沼田郷、及び大原郡の海潮郷の段に登場する。沼田郷は宇乃治比古命が「爾多(にた=美味)」の水で乾飯を"爾多に(=美味しく)"食べた地であることから「爾多(にた)」と呼ばれるようになり、これが訛り「沼田(ぬた)」となったという。また海潮郷は宇乃治比古命が父である須義禰命を恨んで海の潮を押し上げて須義禰命を漂わせた時、潮が至った地であることから「得鹽(うしお)」といい後に字を改め「海潮(うしお)」となったという。島根県雲南市加茂町宇治にある「宇能遅神社」は、出雲風土記に記載される「宇乃遅社」、および「延喜式」に記載される「宇能遅神社」に比定されており、神名の「宇乃治(うのじ)」は地名の「宇治(うじ)」と関連したものではないかと考えられる。

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ウハイタリ

Whaitari

ポリネシアの神話に登場する天界の女神。名には「雷」という意味がある。ウハイタリは人肉を食べ物としていた。あるとき、地上に「カイ・タンガタ(人を食うもの)」という名で呼ばれる男がいることを知り、気にいって結婚しようと考えたウハイタリは、人間界へ行き一人の奴隷を殺して新鮮な心臓をカイ・タンガタに贈った。すると男は烈火の如く怒った。なぜなら彼が「人食い」と呼ばれるのはその勇敢さを称えられたからであって、人肉を食うからではなかったからだ。ウハイタリはがっかりしたが、それでもその男と結婚し、数人の子供を産んだ。しかしその後もウハイタリは人間を食べること止めず、ついにはカイ・タンガタの親類まで食ってしまった。彼はそれを知らずに親類の骨で作った釣り針で魚を釣り、ウハイタリに食べさせた。すると天罰で彼女は盲目になってしまった。さすがにウハイタリは人間界にいるのが嫌になって天界に帰ってしまった。後にウハイタリの盲目は孫のタウハキによって癒されたという。

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姥火

うばがび

日本の河内国(現東大阪)の牧岡神社に出現したという怪火。「姥が火」とも書く。「河内鑑名所記」に見える。神社の灯油を毎晩盗んでいた老婆が死して火と化したものだという。一尺(約30cm)程の火の玉で、近くの村まで飛び回っていたという。また鶏に似た鳥の姿に見えたとする記述も残っている。また丹波(現京都北部)に出現したという話もありこちらは「古今百物語評判」に記されている。

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烏波計設尼童子 うぱけいしにどうじ

Upakeśīnī

仏教において文殊菩薩の眷属とされる文殊八大童子、文殊五使者の一尊。サンスクリット名を「ウパケーシーニー(Upakeśīnī)」といい、「鄔波髻設尼(うぱけいしに)」、「烏波髻施儞(うぱけいせに)」、「烏婆計設尼(うばけいしに)」、「優波髻設尼(うぱけいしに)」などの名でも呼ばれる。また計設尼童子とともに「奉教使者(ぶぎょうししゃ)」と呼ばれることもある。文殊菩薩の能施の徳を司るとされ、胎蔵界曼荼羅では文殊院の南(右)第二位に配される。

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シチロンヌカムイ

 

アイヌ民族においてオコジョを顕現体とするカムイ。名前は「雪ギツネ」の意。アイヌモシ(人間界)ではオコジョの衣装を身に着ける。小さいが非常に強力なカムイと考えられていた。ウシチロンヌカムイは、神話においては必ずアイヌ人やカムイ達に名前を知られていない不遇なカムイとして描かれ、その強い力でアイヌやカムイを危機から救う小さな英雄として謡われる。

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優鉢羅竜王 うはつらりゅうおう

Utpalaka-nāga-rāja

仏教における八大竜王の第八尊。名前はサンスクリット名「ウトパラカ(Utpalaka)」を音より漢訳したもの。「優婆羅龍王(うばらりゅうおう)」(大集経)とも。また青蓮華池に住むとされ、「ウトパラカ」は「青い蓮の池」という意味があることから、「青蓮華龍王(しょうれんげりゅうおう)」(大孔雀明王経)とも称される。

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優波難陀龍王 うぱなんだりゅうおう

Upananda-nāga-rāja

乳母娘娘 うばにゃんにゃん

Rǔ-mǔ niáng-niáng

中国道教において、産後の母体を守ってくれるという女神。「奶々娘娘(ないないにゃんにゃん)」とも呼ばれる。産後の母体の健康や母乳の出を保証してくれる。願いが聞き届けられて母乳が出るようになったときは、乳房に似た白い円錐形の饅頭を礼として供える習慣がある。道教では子を産む際に色々な娘娘神が幼児や母体の健康を護ってくれるが、乳母娘娘もこういった娘娘神の一人である。

《乳母娘娘各柱の名前と護る災厄》
名前 護る災厄
乳母娘娘

母体の健康を護る

眼光娘娘

幼児を眼病から護る

催生娘娘

出産に関する障害を取り除く(難産など)

子孫娘娘

子宝を授ける

送子娘娘

胎児の安全を護る

痘疹娘娘

幼児を天然痘(疱瘡)から護る

瘢疹娘娘

幼児を腫れ物や吹き出物などの皮膚病から護る

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うばりよん

 

日本の新潟県三条市地方に伝わる妖怪。名前は「負われたい」の方言から来ている。「ばりよん」、「おぼさりてい」とも呼ばれる。人が目の前を通ると背中に飛び乗って頭にかじりつくという。うばりよんにとり憑かれても頭を齧られないように、金鉢を頭にかぶれば害を防げるとされている。また、背負ったまま家まで帰ると金の入った瓶になっていたとする伝承もある。

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宇比地邇神

うひじにのかみ

日本記紀神話に登場する大地と泥土を司る神で神世七代の一柱。古事記では「宇比地邇神(うひじにのかみ)」、日本書紀では「埿土煑尊(うひじにのみこと)」、「埿土根尊(うひじねのみこと)」と記されている。神名の「宇(う)」は「泥(うき)」の略で沼地のこと、「比地(ひじ)」は「泥(ひじ)」でやはり泥のこと「邇(に)」は「土(に)」で土を示すと考えられる。女神須比智邇神とは対で大地がようやくと形を成して来た状態を表す神名と考えられている。

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ウブリシ

Ublisi

カバラやグリモア「モーセ第6、第7の書」において言及される天使で、儀式において唱えられる、偉大な力を発揮するという8人の万能な天使の一人。

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ウプルワン

Upulvan

シンハラ人(スリランカの多数民族)の神殿に祀られる四大神の中の最高神。呼称は「睡蓮の花の色をした者」を意味する。ゴータマ・ブッダが悪魔マーラと戦ったときに最後までブッダに忠実であった唯一の神といわれる。

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ウヘル・ア・ヤングヅ

Uhel A Yangz

パラオの創世神話において、最初に登場する神。ウヘル(=オヘル)は「根源」、「元祖」、「主祖」、ヤングヅは「天」といった意。つまり天の根源の神(天祖神)。ウヘル・ア・ヤングヅは天からア・ヤブツ(さっと吹く風)にのせて一つのプツー(星)を降らせた。これにより島や浅瀬を創ったという。ウヘル・ア・ヤングヅ自身は子供を作らず、天から下ろしたア・キム(シャコガイ)が二代目の神ラッツムギカイを産んだ。

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ウヘル・ア・ラック

Ucherrerak

パラオ神話に登場する兄弟神の弟。ウヘル・ア・ロイサンを兄とする。ウヘル・ア・ラックはいつも兄のもとに食事を持っていくよういわれていたが、その時大声で歌を歌いながら来るように、とも言われていた。不思議に思ったウヘル・ア・ラックがある日歌わないでこっそりと兄のところへ行ってみると、兄は大きな月を独り占めして灯り代わり使っていた。家に帰ってウヘル・ア・ラックが泣いたので、彼らの父は月を少し削って弟にも分け与えた。この月の欠けらは三日月形だったので、彼はこれを釣り針にした。ところが二度目の釣りでこの釣り針はなくなってしまった。釣り針を探すためウヘル・ア・ラックが海中に入っていくと、そこには村があった。そこに住んでいたディリクツーという名のお婆さんが喉を腫らしていた。ウヘル・ア・ラックは村人達に酒を飲ませると、人々は陽気に踊りだして、それを見て笑ったディリクツーの口の中から釣り針が飛び出た。ウヘル・ア・ラックが陸に戻って再び釣りをすると、ディリクツーは今度は餌だけとって針を投げ捨てた。この針は海中の村にあった石に引っかかった。ウヘル・ア・ラックが釣竿を思いきり引くと海中から村があらわれた。

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ウマイ

Umai

シベリアのチュルク族における地母神。「イマイ」とも呼ばれる。黄金の髪が60個の房に分かれており、その様が太陽光線のように見えるという。子供とお産の守護神であり、新生児を守り、夫婦が子宝を授かるのを促すとされる。起源的にはモンゴルの火の女王オトと同じ女神だったと考えられている。

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宇摩志阿斯訶備比古遅神

うましあしかびひこじのかみ

日本記紀神話で、国土がまだ脂のように漂っていたとき、葦が萌え出るようにして生まれた神。国土の成長力の神格化されたもの。別天神の一人。「宇摩志阿斯訶備比古遅神」は「古事記」の記述で「日本書紀」では「可美葦牙彦舅尊(うましあしかびひこじのみこと)」と記されている。「ウマシ」は美称、「アシカビ」は葦の芽、「ヒコジ」は立派な男性のこと。総じて「立派な葦の芽の男性の神」といった意味。別天神は五柱とも独神といって性別を必要としない神であるから名前で性別が語られるのはおかしいとして、「ヒコジ」は男性であることを表す語ではなく、泥を表す「コヒジ」の転訛ではないかとする説もある。名前に含まれる葦は日本国の美称である「豊葦原(とよあしはら)」に見られるように豊かな生命力と豊かな国土を象徴する植物であった。

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馬鹿

うましか

日本の妖怪の一種。「ぬましか」あるいは「ばか」とも。熊本県八代市の松井家に伝わる「百鬼夜行絵巻」に描かれた妖怪の一種で、角の生えた一つ目の立ち上がった馬のような姿をしているが、どのような妖怪かは判然としない。

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馬憑き

うまつき

日本における怪異の一種で、馬を殺した者に馬の霊が憑いて仇をなすことを言う。鈴木正三著「因果物語」、神谷養勇軒「新著聞集」などに見られる。馬憑きにあったものは馬屋で馬の真似をしたり馬のようにいなないたりするようになりついには死んでしまうという。「絵本百物語」に記される塩の長司には馬を殺して食べた男の腹に馬の霊が出入りして腹の中で暴れ苦しめる話があるが、これも馬憑きの一種と考えられる。

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海御前

うみごぜん

福岡県に伝わる河童の女大将。「あまごぜん」とも読む。元々は平家の大将であった平教経の母、あるいは奥方であったが、壇ノ浦の戦いで入水したのち、福岡に泳ぎ着き河童になったのだとされる。源氏の白い旗印を思い出させる蕎麦の白い花が嫌いで、蕎麦の花が咲いている間は住処に閉じこもっているとされる。また一般人は襲わず源氏の者だけ襲うとされる。

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海座頭

うみざとう

三陸沖の海に出る海坊主の一種。鳥山石燕の「画図百鬼夜行」では手に杖を持ち琵琶を背負った盲目の琵琶法師の姿で描かれている。伝承では巨人だとされており、月の終わり頃にしばしば海の上を歩き回り、海坊主と同じように漁師を驚かしたり、船を転覆させたりすることがあるという。ただ、海座頭が言ったことに素直に答えれば姿を消すといわれている。どう言うわけか海坊主とは出現する時期が異なり、海坊主が現われなくなった頃に出現するとされる。

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海坊主

うみぼうず

日本の海に現れる妖怪。欧州でも似たような「シービショップ(海の教皇)Sea Bishop」と呼ばれる魔物が存在する。巨人の姿で頭がはげており船をひっくり返したり飲み込んだりする。かなり巨大でその一部分しか見えない場合でも数メートルから数十メートルあるといわれる。日本各地の海に出現し、船の積荷の中で一番大事なものを海に投げ込めば助かるという。

江戸時代に作られた寺島良安による絵入り辞典「和漢三才図会」には、「和尚魚」という漢字に「おしょううお」、「うみぼうず」の二通りの訓を当て亀の頭部分が坊主姿になった生物が紹介されている。

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羽民人 うみんじん

Luanminren, Yŭmín-rén

中国の伝承に登場する人間に似た奇妙な種族の一つ。古代の地理書「山海経」に記されている。古代の中国の南部にあったという南山から東南に進んだ場所にある、「羽民国」に住んでいる。まるで鳥のような種族で姿は人間に似ているものの、頭は普通より長く、体は羽毛で覆われ、翼を持っているという。羽民人は非常に恥ずかしがりやで、誰かが近づくとすぐ隠れてしまうとされる。

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蛤貝比売

うむぎひめ

古事記に登場する貝と治療を司る女神。「うむかいひめ」とも読む。「蛤貝(うむぎ/うむかい/うむがい)」とは蛤(はまぐり)を指す古称。古事記では「蛤貝比売」、「先代旧事本紀」では「蛤貝姫命(うむぎひめのみこと)」、「出雲国風土記」では「宇武賀比売命(うむかひめのみこと)」の名で見える。古事記では大国主神が八十神(大国主神の兄神たちの総称)の姦計により、焼ける岩を受け止めて焼け死んでしまった時に、神産巣日神により大国主神の元へ派遣された女神が蛤貝比売と𧏛貝比売とされる。二人の女神は大国主神に治療を施し、大国主神は無事蘇生したという。その治療とは𧏛貝比売が「岐佐宜集而(きさぎあつめて)」、蛤貝比売が「持承而 塗母乳汁(持ち受けて母乳汁(おものちしる)を塗る)」というもので、赤貝(=?貝)の貝殻を砕いで焼き、母乳に見立てた蛤の汁に溶いて塗る、というようなものだと考えられている。一方「出雲国風土記」では単独で嶋根郡法吉鄉のくだりに登場し、神魂命(=神産巣日神)の御子神である宇武賀比売命が、「法吉鳥(ほほきどり=うぐいすのこと)」と化して飛びこの地に鎮まったので地名を「法吉(ほっき)」というようになった、と記されている。

島根県松江市法吉町にある「法吉神社(ほっきじんじゃ)」では、「宇武加比比売命(うむかひひめのみこと)」の名で蛤貝比売を祀っている。また松江市秋鹿町にある「秋鹿神社(あいかじんじゃ)」では、秋鹿日女命を蛤貝比売と同神として祀り、静岡県浜松市の「岐佐神社(きさじんじゃ)」では蛤貝比売と𧏛貝比売二神が祀られている。

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ウム・ダブルチュ

Umu Dabrutu

バビロニア神話に登場する怪物。英雄詩「エヌマ・エリシュ」("高きに居るころ")によればティアマトマルドゥークに対抗するために生み出した11の怪物の一つ。ライオンの体に鷲の頭と翼をもった姿で、風を操る魔物とされる。

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有夜宇屋志

うやうやし

日本における妖怪の一種。湯本豪一氏所蔵の化物尽くし絵巻の一つ、俗に「化物づくし・湯本A本」と呼ばれる絵巻に描かれたもの。この絵巻に描かれた妖怪十二体は一体(狐火)を除き他に類例を見ない。有夜宇屋志は体中に白い斑点のついた赤黒い肉の塊のような化け物が、まるで誰かを敬うように目を閉じ躓いている姿を描いたものである。その姿はまるで上から踏み潰したようにまっ平らに伸びている。目を閉じながらも口は開いていて上あごに付いた牙がむき出しになっているので、どうにも人を小ばかにしたように見える。

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宇夜都弁命

うやつべのみこと

「出雲国風土記」に見える女神。出雲郡健部郡はもともと「宇夜(うや)」という地名でこの神が天降った場所だという。健部郡は現在の出雲市斐川町や松江市宍道町の一部に当たり斐川町神庭には「宇屋谷(うやだに)」という地名が残る。またこの宇屋谷にある「神代神社(かむしろじんじゃ)」は出雲国風土記にも「神代社」として記載されており、現在も宇夜都弁命を祭神として祀っている。神名の「ウヤツベ」とは「宇夜の女」を意味し、地名を冠したものであると考えられるが、「宇夜」自体の意味は判然としない。「ウヤ」を「大屋(おおや)」の転訛として(同神ではないが)大屋津姫命の神名と同義ではないかとする説もある。

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ウラ

Ura

バビロニアにおける病気を司る神であり悪魔。人々に熱心に信仰されていたにもかかわらず、この世にある全ての生命を断ってしまおうと考えた。驚いた人々はますます熱心にウラに祈ったので、ウラは「自分の名を称え、自分がいかに勇敢で偉大な存在であるかを賞賛した者だけは許してやろう」と答えた。

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ウラエウス

Uraeus

エジプト神話において太陽を象徴する蛇。レーを始めとする太陽を司る神の頭飾りとなっている太陽の円盤に巻きついた姿でよく知られる。元々ウラエウスはウジャトと呼ばれる女神であり、レーの取り外し可能な眼であった。これは太陽の象徴したものだが、ウジャトはこの任務を放棄しレーの元から逃げ出したことがあった。ところがウジャトが帰ってきた頃にはレーはすでに新しい「眼」を作ってしまっていたためウジャトは怒り狂い蛇と化したのである。レーはウラエウス=ウジャトの怒りを鎮めるため彼女を自分の額につけたという。別の伝承ではレーがウラエウスを箱に入れておいた時、大地の神ゲブがその箱を開けてしまったことがあった。ウラエウスが毒を吐くとゲブの仲間は皆死んでしまい、ゲブでさえも重体に陥ったという。

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ウリエル

Uriel

ユダヤ教、キリスト教に共通して登場する四大天使の一人、偉大なる大天使(アークエンジェル)。名前は「神の光」あるいは「神の炎」といった意味を持っている。炎の剣と盾によって象徴され、四大元素の「地」、四方位の「南」、および「感受性」、「硬く耐え忍ぶこと(堅忍)」という美徳を司る。旧約聖書外典「第1エノク書」のギリシャ語写本によれば、宇宙の運行と地球の気象を司るという。ウリエルの名は旧約聖書偽典「シュビラの託宣」や新約聖書外典「ペテロの黙示録」などにも言及され、それによれば終末において偶像崇拝者(つまり異教徒)たちを神の審判の場に連れて行くこと、生前に善行を怠らなかった死者に魂を吹き込んで生き返らせ、また生前悪行に走った死者たちを地獄で拷問にかけることがウリエルの役目である。また、作家や教師といった職分に対するインスピレーションの源泉といわれる。

ウリエルは天使の9階級で言えば他の四大天使と同様に8番目のアークエンジェルに属するとされるが、それでいてセラフ達の指揮官とされたり、ケルブに属するとされることもある。

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ヴリシャ

Vṛṣa

ヴリシュチカ

Vṛścika

ヴリトラ

Vritra

古代インドにおける悪神でアスラの一人。名前は「遮蔽物」を意味する。「リグ・ヴェーダ」によれば、水をせきとめて旱魃をもたらす大蛇あるいは竜だったという。雷神インドラは一回戦ったときにヴリトラに飲み込まれたが生還して再び戦い、ヴァジュラ(金剛杵)によってヴリトラを退治した。後世の叙事詩「マハーバーラタ」には人型の神としてかかれたが、ここでもインドラによって倒されることになる(このためインドラは「ブリトラハン(=ブリトラを殺した者)」という異名がある)。闇や災害、自然の非生産的な力などを象徴し、人間から知性の光を奪うとされる。

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ウルヴァシー

Urvasi, Urvaśī

インド神話に登場する女の妖精でアプサラスの一人。プルーラヴァス王が狩りに出かけた時に会ったアプサラスの一人で、プルーラヴァスは怪物に襲われそうになっていた彼女たちを助けた。プルーラヴァスはウルヴァシーに一目惚れし、交際を申し込んだ。ウルヴァシーは自分に裸を見せないことを条件にこれを了承した。こうしてウルヴァシーとプルーラヴァスは一緒に暮らすようになったが、ウルヴァシーと仲がよかった男の妖精=ガンダルヴァ達はこれが気に入らない。そこで一計を案じたガンダルヴァ達は二人が寝ている間にこっそりとウルヴァシーがペットとして飼っていた子羊二匹のうち一匹を連れ去ってしまった。子羊が一匹いなくなっていることに気付いたウルヴァシーは仮にも"英雄"の名を持つ者がそばにいながら泥棒に気付かないとは何事だ、とプルーラヴァスの不甲斐なさをなじった。そして二匹目の子羊が盗まれそうになった時はプルーラヴァスも泥棒を捕まえようと寝床から飛び出したのだが、この時ガンダルヴァ達は稲妻を光らせプルーラヴァスの裸身をウルヴァシーに見せたのだった。ウルヴァシーは約束通りプルーラヴァスの元からいなくなってしまった。プルーラヴァスはそれでも諦めきれず、方々を探し回りウルヴァシーを見つけて自分の所に戻ってきてくれるように嘆願した。プルーラヴァスの邪魔をしていたガンダルヴァ達もその熱情にほだされ、プルーラヴァスをガンダルヴァにした。その後二人は末永く幸せに暮らしたという。

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ヴルコドラグ

Vulkodlac

スラヴの伝承における狼憑き、ないし狼人間。名前は「狼の毛」を意味する。「ヴコドラク(Vukodlak)」、「ヴルコラク(Vrkolák)」、「ヴォルクン(Volkun)」などの名でも呼ばれる。リトアニアにおいては「ヴィルカタ」と呼ばれる。ただ、ヴルコドラグは特に一回死んだ狼人間のことを指し、死んでなお吸血鬼としてよみがえり、人を襲うたびに狼の姿に変容する凶悪な狼人間である。

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ウルス

Urus

中世の動物寓話集に出てくる想像上の生物。大きな牡牛と同じくらいの大きさで、端がノコギリのようにギザギザになった、二本の非常に長く鋭い角を持っている。ウルスは海水を飲むと何故か酩酊状態になり、角を地面に突き刺したり、木を切ろうとして引っかかったりするので、猟師はこれを利用してウルスを捕らえたという。中東に生息するオーロクと呼ばれる牛の古代種の姿が誇張されたものと考えられている。

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ウルス・ラグナ

Veresraghna

ペルシアにおける勝利の神。名前は「障害を打ち破る者」ないし「勝利をもたらす者」の意。「ワルフラーン(Warahran)」、「バフラーム(Baharam)」とも呼ばれる。インドの神インドラの別名「ヴリトラハン(ヴリトラの殺戮者)」と語源を等しくすると考えられている。魔や悪意を持つ人間を打ち負かし罰を与える神で、崇拝者に勝利を与えるとされることから特に兵士に信仰された。ゾロアスター教では勝利を司るヤザタとして取り入れられた。賛歌「ワルフラーン・ヤシュト」にはウルス・ラグナの10の化身として「風」、「雄牛」、「白馬」、「ラクダ」、「猪」、「少年」、「大鴉」、「雄羊」、「雄鹿」、「勇士」が記されている。

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ウルド

Urdr, Urd, Wurd

北欧神話における運命の女神ノルンの三人いる長の一人目。「ウルズ」とも発音する。「ウィルド(Wyrd)」とも呼ばれる。元々はウルド一人が長と考えられていたらしい。名前は「編む者」という意味を持ち、特に運命と死を司るノルンだとされる。オーディンのような神でさえ死という運命から逃れようがなく、彼女はオーディンに向かって「あなたはフェンリルに殺される運命にある」と警告している。

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ウルパイ・ワチャック

Urpay Huachac

インカ神話において、パチャカマックの妻で、夫との間に二人の娘をもうけた。彼女は魚の創造者でもあり、パチャカマックの地にある池で魚を育てていた。ウルパイ・ワチャックはこの魚達を大事に飼っており、決して人々に分け与えたりしようとしなかった。「ワロチリ文書」によれば、コニラヤ・ヴィラコチャ(最高神ヴィラコチャの化身、トリックスター)が娘のうち一人を誘惑し、もう一人をも誘惑しようとした時、その娘がハトに変身し飛び去って彼から逃れたので、憤慨して池を叩いた。そのお陰で池の魚が海へと飛び散っていったのだという。また別の神話によれば、ウルパイ・ワチャックがあまりにも魚を大事にしている様子をみたコニラヤ・ヴィラコチャが、悪戯心を刺激されて池と海の間にひと筋の溝を掘ってしまったために、魚たちが海に逃げ出したのだと説明されている。

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ヴルパングエ

Vulpangue

チリのアンデス地方に伝わる奇怪な怪物。狐に似た頭を持つ巨大な蛇や、円形或いは球形の体に目がその縁に並んでついている、イデ或いはエル・クエーロに似た化け物だとされる。ヴルパングエは水辺に生息しているが、人間を食べてしまう危険な生物なので、ヴルパングエのいる場所には近づいてはならないとされている。

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ウルブツィン

Urubutsin

ブラジル中部を流れるシング川流域に住むカマイウラ族の伝承に登場するハゲワシの王。光り輝く鳥たちの王国を支配していたが、文化英雄の兄弟神、クアトイアエの計略にかかり、人間に光を分け与えた。

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ウルマフルッルー

Urmahlullu

バビロニア神話においてティアマトマルドゥークに対抗するために生み出した11の怪物の一つ。「ウリディンム(Uridimmu)」とも呼ばれる。狂犬、ないし獰猛な犬。ただ原文における表記では獅子人間とも解釈できる。

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ヴルム

Vurm

北欧の伝説や伝承において巨大な蛇の怪物をさす総称。ドイツ語で蛇を表す「ワーム(Wurm)」を語源とする。またオルムワームとも語源的に関係が深い。現在では耐えられない欲望、或いは欲深い人のことをヴルムと形容することがある。

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ウルリクムミ

Ullikummi

もともとは古代アナトリアの神だが、後にヒッタイト神話に加えられた。クマルビの息子。長男でありながら自分を転覆させたテシュブへの復讐心を胸に抱いたクマルビが巨大な岩と寝たとき、この岩から誕生したのがウルリクムミである。ウルリクムミは閃緑岩で出来ており、神々は彼が無事に成長するようにと海の真中にいる巨人ウペルリの肩に乗せた。ウルリクムミは海の水がせいぜい胴のところまでしかこないほど大きくなった。ウルリクムミはテシュブを王位から退けることに成功するが、テシュブに味方したエアによって打ち負かされ、テシュブは王位を取り返した。

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ウロボロス

Ouroboros

古代ギリシャなどにおいて、自分の尾を口に咥えた格好で宇宙を取り巻いているとされた蛇。そのモデルはミズガルズオルムであるとされている。破壊しながら再生する存在で永遠、連続、無限を表す一種の象徴的存在として、地図の世界を取り巻く大海の周りや、星図の十二宮星座の周り、護符などに描かれた。

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上筒之男命

うわつつのおのみこと

日本記紀神話における航海の神。底筒之男命中筒之男命とともに住吉大社に祀られるので、この三神を「住吉三神(すみよしさんじん)」と呼ぶ。上筒之男命はその中で住吉大社の三宮に祀られている。古事記では「上筒之男命(うわつつのおのみこと)」、日本書紀では同訓で「表筒男命」、あるいは「磐土命(いわつつのみこと)」と記されている。伊邪那岐命が黄泉国から逃げ帰り、禊祓(みそぎばらい)を行ったとき、その濯いだ水から生じた神。神名の「うわ」は海上のこと、「つつ」は航海の指標となる星、或いは助詞の「つ」+「津」などに解され、航海の守護をする神とされる。また記紀神話の神としては珍しく、人の前に形を持って現われ、歌を詠んだという伝説が残っているため、和歌の神としても信仰された。

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上津綿津見神

うわつわたつみのかみ

日本記紀神話に登場する海の神。「上津綿津見神」は古事記での表記で、日本書紀では「上津少童命(うわつわたつみのみこと)」、もしくは「表津少童命(うわつわたつみのみこと)」の名で記されている。中津綿津見神、上津綿津見神とともに「綿津見三神」と称される。伊邪那岐命が黄泉国から逃げ帰り、禊祓(みそぎばらい)を行ったときに生じた神とされる。

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ウワプ

Uab

パラオの創世神話に登場する原初の女巨人。女性の巨人は巨人型創世神話には珍しい。女神ツランが男性神を伴わずに一人の力で産んだ子供。ツランはウワプを最初は家に座らせていたが、どんどん大きくなるのでうずくまらせた。それでもまだ大きくなるので今度は家の外に立たせることにした。最初のうち棒の先に食べ物をぶら下げて与えていたが、ついにはそれさえも届かなくなった。困ったツランがラッツムギカイに相談すると、足元に薪を積んでウワプを焼けという。薪を積んでいるとウワプがツランに何をするのかと聞いてきたのでツランは焚き火をするのでおまえの足が熱くなら無いように木を積んでいるのだと答えた。ウワプは「オ・メラオル(汝欺く)」といった。ツランが何をしようとしているか分かったからだ。火に焼かれたウワプは倒れてパラオの豊かな土壌となった。ベラオ(パラオ)という島の名はこの「メラオル」が変化したものだと説明される。

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うわん

 

日本の妖怪で、墓場に棲んでおり、「うわん」と呼びかけられたらすぐに「うわん」と答えないと棺おけに引きずり込まれる、という話で知られる。このような話は佐藤有文の「日本妖怪図鑑」に載っているが、出典が分からず、有文による創作である可能性が高いとされている。鳥山石燕の「画図百鬼夜行」や「化け物尽くし」のような妖怪絵巻にも見えるが、いずれも名前だけで説明はなく詳細は不詳である。

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雲外鏡

うんがいきょう

日本の妖怪で付喪神の一種。百年経た古鏡が妖怪となったもので、身体である鏡の表面に妖怪となった自分自身の姿を映し出す。鳥山石燕の「画図百鬼徒然袋」にも紹介されており、大きな丸い鏡の中に獣じみた顔が浮かび上がり、舌を出している図が描かれている。中国には古くから照魔鏡という鏡があって、悪霊や妖怪達の正体を映し出すといわれているが、照魔鏡だと思っていた鏡が実は雲外鏡だったということもあるのではないかと石燕はいっている。つまり雲外鏡は石燕が照魔鏡を元にして書いた創作妖怪のようである。

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ウングッド

Ungud

オーストラリアのアボリジニに信じられている、世界を創ったとされる"虹蛇"。アボリジニの各部族でその呼称が違うため、「イェロ(Yero)」、「ウォナンビ(Wonambi)」、「ウォヌングル(Wonungur)」、「ウォルンクア(Wollunqua)」、「ウォロンビ(Worombi)」、「ウングル(Ungur)」、「カリア(Karia)」、「ガレル(Galeru)」、「ジュルングル(Julunggul)」、「チェル」、「ミンディ(Myndie)」、「ランガル(Langal)」、などの数多くの別名がある。各部族によって微妙な差はあるが、偉大な母であるとともにその配偶神であり、両性具有のイメージが強い。(参考:"虹蛇")

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ウンクルンクル

Unkulunkulu

アフリカ南部のズールー人の信じる天空神。「ウグカバデレ(Uguqabadele=抵抗が無意味な者)」、「ウゴブンゴンゴ(Ugobungqongqo=主権者でさえひれ伏す者)」、「ウマボンガ・クトゥク・イジズウェ・ゾンケ(Umabonga-kutuk-izizwe-zonke=全民族が恐怖に打ちのめされるほど吼える者)」などと称される。また彼は「ウキリ(Ukqili=賢者)」、「ウジヴェレレ(Uzivelele=自分自身である者)」とも呼ばれる。つまりウンクルンクルは自分自身を存在させることによって自分を創りその後世界の創造者となった。彼は自分を存在させたように人間を存在させたという。ズールー人は好戦的な民族であったため、ウンクルンクルの別称にはそれを思わせる言葉が使われるが、本来ウンクルンクルが担った創造の神話はいささか象徴的で理解しがたい(ものとして規定される)。ウンクルンクルには「ウドゥマカデ(Udumakade=はるか遠くの時代から雷を落としてきた者)」という別称があり、この雷の一撃が世界を創造に関わっていると考えられているが全体としてどのような創造を行ったかは分かっていない。世にあるすべてのものはウンクルンクルの所有物であるから、雷に打たれたりして家畜が死んだとしても、それは単に「ウンクルンクルが自分のために自分の家畜を屠殺したに過ぎない」と理解される。ウンクルンクルは人間の死にも間接的に関わっている。彼は「永遠の命」のメッセージをカメレオンに、「死の宣告」のメッセージをトカゲに託して地上に向かわせたが、トカゲのほうが人間の下につくのが早かったため、死を当然のものとして人間が認知してしまった。こうして人間は死んでしまうことになったが、その代わりウンクルンクルは人間に結婚と子供の産み方を教え、医者と火を提供した。

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ウンサーガナシ

 

沖縄の伊是名島における、赤ん坊ぐらいの大きさの妖怪。イッシャと性格が良く似ており、親しくなると大漁に恵まれるが、この時とれた魚はすべて片目だという。またウンサーガナシを裏切ると飼い豚の目が片目になったり、漁に出た時に海で死んでしまったりするという。

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ウンセギラ

Uncegila, Unhcegila

アメリカのネイティブアメリカン、スー族やラコタ族に伝わる怪物。スー族に伝わるウンセギラ(Uncegila)は巨大な雌の蛇で、体は火打石の鱗で覆われ、心臓は水晶で出来ていて目から炎を放つとされる。普段は海に棲んでいるが、度々津波を起こして内陸までやってきて川や湖の水を海水に変えて人間が使えなくしてしまう。このウンセギラは二人の若者によって退治された。ラコタ族に伝わるウンセギラ(Unhcegila)は巨大なドラゴン型の怪物で人の好んで食べるとされる。人々は誰かがいなくなるとウンセギラに攫われたと考える。

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ウンディーネ

Undine

ヨーロッパの川や泉に住む水の精霊。名前は「波」を表す。もともとは16世紀のスイスの化学者パラケルススによって考えられたエレメンタル(四大精霊)の一種族であり、四大元素のうち「水」を司る精霊と考えられた。魚や蛇の姿をとるときもあるが、たいてい美しい乙女の姿であらわれ、しばしば人間と恋をする事で知られる。ウンディーネは人間と結婚して子供をうめば魂を与えられるとされているが、結婚した人間が川や泉の近くで彼女をののしると、彼女は永遠に水の中に戻らなければならなくなるという。

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