モイングイイマ

 

ネイティブアメリカン、北アメリカ東部に住んでいた農耕部族であるホピ族における、トウモロコシを含むすべての食用植物の神。「ミュイイングワ(Müy'ingwa)」とも呼ばれる。農耕部族であるホピ族にとって、トウモロコシは最も重要な作物である。モイングイイマは少年ほどの背しかないが、ちゃんと伴侶もいる大人として描かれる。赤・黄・緑・白・黒の五色で彩られた仮面をかぶり、トウモロコシでおおわれた体にトウモロコシの頭花を足とした姿であらわされる。ホピ族の人々は野菜を植えるとき、モイングイイマに作物が実るように祈りをささげる。毎年夏になるとモイングイイマの体重は増える。これはその体内でトウモロコシを始めとしたスイカ、かぼちゃなどの作物が育つからで、十分実が育つとモイングイイマは自分の身体を削ぎ落とす。すると植物に実がなり、彼自身はやせ衰える。自分の姿を見て、モイングイイマは悲しむが、彼のおかげで毎年作物が実るというわけだ。かつてモイングイイマはホピ族の人々ともに暮らしていたが、今ではその地を離れ西部に移っていったと伝えられている。

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網明菩薩 もうみょうぼさつ

Jālinīprabha

仏教において賢劫十六大菩薩の一尊でありまた文殊八大童子の一人とされる仏尊。サンスクリット名を「ジャーリニープラバ(Jālinīprabha)」ないし「プラバ・ジャーラ(Prabha-jāla)」といい、ジャーリンやジャーラは「網状」や「網」、プラバは「輝き」を意味することから「網明菩薩」、「明網菩薩(みょうもうぼさつ)」、「網光菩薩(もうこうぼさつ)」、「光網菩薩(こうもうぼさつ)」、「網明童子菩薩(もうみょうどうじぼさつ)」、「光網童子(こうもうどうじ)」などの名前で呼ばれる。また音写では「惹哩儞鉢囉婆(じゃりにはらば)」と記される。文殊菩薩の福徳を司り、大悲の網を張ってあらゆる人々を救うという仏尊。金剛界曼荼羅の檀外の西方(上側)の4尊のうち北(右)から二番目に配される。また胎蔵界曼荼羅では文殊院の北(左)第一位に配される。

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忙莽雞菩薩 もうもうけいぼさつ

Māmakī

仏教における菩薩の一尊。「もうまけいぼさつ」とも読む。サンスクリット名を「マーマキー(Māmakī)」といい、名前は「自分自身」を意味する。「忙莽雞菩薩」のほかに「忙麼鷄菩薩(もうまけいぼさつ)」、「摩莫枳菩薩(ままきぼさつ)」、「忙莽計(もうもうけい)」、「莽摩計(もうまけい)」、「忙莽雞金剛(もうもうけいこんごう)」、「忙莽計明妃(もうもうけいみょうひ)」などの名前でも呼ばれる。語義は前述のとおりだが、仏典ではマーマキーを「多くを産む母」と意と解し金剛部の、ひいては諸仏の母として「金剛部母(こんごうぶも)」、「金剛母菩薩(こんごうもぼさつ)」、「摩莫鷄金剛母菩薩(ままけいこんごうもぼさつ)」、「多母(たも)」といった名前でも呼ばれる。胎蔵界曼荼羅の金剛手院、第一行(内側)第三位に配される金剛手持金剛菩薩は同尊とされる。

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黙示録の獣

The Beast of the Apocalypse

「新約聖書」のヨハネの黙示録において言及される、「獣」に対する通称。黙示録中で語られる「獣」に類するものは複数あるが、特に第13章で語られる二匹の獣(「海からやってきた獣」と「地からやってきた獣」)のことをいう。これらは固有名称を持っていないがために混同され描写されてきた。

第12章で語られる獣は「太陽を着て足の下に月を踏む女」と関連付けられている。この獣は7つの頭と10の角を持ち、7の冠をかぶっている。またこの獣は「赤きドラゴン」であり、「巨大なドラゴン」であり、「サタン」であり、「世界を惑わす巨大な蛇」であるという。この獣は以降は「ドラゴン」として記されている。第13章で語られる最初の獣は海からやってきて10の角と7つの頭を持ち10の冠をかぶっている(つまり角ごとに冠がついていると解釈される)。また豹に似ているが、脚は熊のようで、口はライオンのようで、頭には神を汚す名が刻まれているという。この獣は「ドラゴン」により42か月の間活動する権威と大言や涜言を吐く口を与えられ、神やその御名を冒涜した。第13章で次にあらわれた獣は地からやってきて仔羊のような角が二つあり、ドラゴンのようにものを言った。この獣は人々の右手あるいは額に刻印を押させ、刻印がない者が物を売買できないようにした。この刻印は獣の数字(666)であったという。さらに第17章でも7つの頭と10の角を持ち、神を汚す名で体が覆われた獣が登場する。この獣にはバビロンの大淫婦が乗っており、「赤い獣」として描写されている。

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目目連

もくもくれん

日本の付喪神の一種、或いは妖怪。鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に描かれたもの。誰も住まなくなった荒れ果てた空家の破れ障子に、まるで部屋の内部を覗くように無数の目が張り付いたもの。石燕は障子に無数の目が現れた様を、碁盤に置かれた碁石になぞらえ、碁打ちが碁盤に注いだ視線が変化して目目連になったとしている。石燕以前に目目連の話は見つからないため、石燕の創作である可能性が高い。山田野理夫の「東北会談の旅」にも目目連の話が出てくるが、これは名前を当てはめただけと思われる。それによれば、ずっと昔にけちな材木商が、お金をけちって汚い空家に泊まったところ目目連が出現したが、材木商は恐れるどころかこの目を集めて持ち帰り、目医者に売り飛ばしたという。

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木曜 もくよう

Bṛhaspati

仏教における九曜及び七曜の一尊。木星のことで、サンスクリットでは「ブリハスパティ(Bṛhaspati)」と称する。漢訳では#mokuyouのほか「木曜星(もくようしょう)」、「木星(もくしょう)」、「木精(もくしょう)」、「木大曜(もくたいよう)」、「歳星(さいしょう)」、「攝提(しょうだい)」、「大主(たいしゅ)」などの名で呼ばれるほか、「勿哩訶娑跛底(ぶつりかさばてい)」、「勿哩娑跛底(ぶつりさばってい)」と音写される。東方を司り、胎蔵界曼荼羅での像容は右手の中指と薬指を曲げて親指で抑え、左手は腰に当てた姿か、猪頭冠を戴き左手に樹皮を持って立つ姿。

種子は「बृ(bṛ)」、真言は「唵婆羅 訶薩鉢 底曩摩比跢嚩曩師 摩攞嚩羅駄寧 娑嚩賀(おんぼら かさんは ちなうまひたばなうし まらばらだねい そわか)」、三昧耶形は瓶口星。

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蒙古高句麗

もくりこくり

日本の和歌山県などに伝えられる妖怪。「むくりこくり」ともいう。元寇のとき蒙古と高句麗の連合軍が来襲したことから、子供を泣き止ませる時などに「蒙古高句麗の鬼が来るぞ」などと言ったことに端を発すると思われる。三月三日には山に、五月五日には海に出現するとされ、麦畑では人の姿をとり高くなったり低くなったりしながら現れては消える。海ではクラゲの姿で現れ、群れて漂うという。夜に麦畑で蒙古高句麗に会うと「尻を抜かれる」とされる。蒙古襲来時に水死した人々の霊魂だと伝えられる。

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モコ・カーカーリキ

Moko kākāriki

ニュージーランドのマオリ族において、最も恐ろしいとされるアリアー。悪意あるアトゥア、あるいはケーフア(死後も地上をさまよう霊)の顕現とされる。名前は「緑のヤモリ」という意味で、ニュージーランドに実際に生息するヤモリの一種(Naultinus elegans)のこと。独特の笑い声のような鳴き声が死を呼ぶとして恐れられた。死にかけた人間にとりつき、はらわたを貪り食うとされる。

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モージ

Móði

北欧神話における怒りの神であり、雷神トールの息子。その名前は「激しく怒る者」を意味し、父であるトールの性格の一側面が神格化した存在と思われる。母は定かではないが、トールの正妻であるシフとの間に生まれたと思われる。神話ではほとんど活躍することがないが、詩においてはしばしばトールは「モージの父」と言い換えられた。モージはトールの後継者として神と巨人の終末戦争「ラグナロク」を生き残り、異母兄弟であるマグニとともにトールの遺品である神槌ニョルニルを管理することになると予言されている。

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モシリシンナイサム

 

アイヌに伝わる妖怪の一種。様々な動物に化けては人間を付けねらうという。語義は「モシリ(国の)・シンナイ・サム(別の・側)」という意味で、元は他界から来るモノという意味だったと思われる。路傍に大きな牡鹿がいたと思ったら一瞬にしていなくなったりするのは、モシリシンナイサムに狙われている証拠だという。また一説に、モシリシンナイサムは白黒のまだら模様のある馬ほどの大きさの化け物で、村はずれの湿地帯などにあらわれ、その姿や足跡を見ると、長生きできずに一生不幸で過ごすことになるという。

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モックルアルヴィ

Mokkuralfi

北欧神話に登場するヨツン族に作られた魔法の巨人。ヨツン族で一番強いとされたフルングニルと巨人殺しの異名を持つ雷神トールが対決する際、トールをおびえさせる為にヨツン族によって川底の粘土と雌馬の心臓を使って作り出されたもの。モックルアルヴィは雲を突き破るほど背が高かったがいかんせん動きがのろく何の役にも立たなかった。というのもトールの召使いである人間のシアルヴィが足に斧を打ち込んだだけで倒れてしまったのだ。同じようにヨツン族に作られた粘土の巨人としてスクリューミルがいる。

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モト

Mot

フェニキアにおける死と不毛の神。「愛される者」ともいわれる。冥界の荒廃と暗闇のただ中を統治する神。植物神バールの敵であり、毎年彼ら二人は争っており、植物神であるバールはモトに殺され、そしてモトはバールの妻であるアナトによって反対に殺されるということを繰り返す。これは農業に不毛と豊穣、雨期と乾期が繰り返すことを象徴したものである。

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モナキッチョ

Monachicchio

イタリア南部のカラブリア地方において知られる妖精。小人で修道士のような姿をしているが、身長の二倍はある大きな赤いフードをかぶっている。地中の宝を守っている妖精で、フードを盗めば返す代わりにそのありかを教えてもらえるという。

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モナチェロ

Monaciello

イタリア南西部のナポリにおいて知られる妖精。酔っ払った修道士か枢機卿の姿で現れるが、いずれにしても火のように輝く赤い目をしていて赤い帽子をかぶっている。猫の姿で現れることもあるとされる。人間をつねって服を盗むことで知られるが、財宝の番人であり、彼の赤い帽子を盗むことが出来れば、それを返す代わりに宝のありかを教えてくれるとされる。

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木綿ひき婆

もめんひきばばあ

日本の福岡県に伝えられる妖怪。大牟田の屋敷町の空き地にあった落葉樹の木の下に出現したという。その木は風に吹かれると普通の枝木の擦れ合う音ではなく、何故か綿繰車のような音を出し、同時に木の下に白髪の老女が綿繰車を回しているのが見えたという。

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モヤン・カピル

Moyang Kapir

マレーシアのマ・ベティセク族の神話に登場する精霊。月に棲んでいる半人半虎の姿をした精霊だとされる。人間の文明的な振る舞いに関する規範集を守っている精霊で、モヤン・メルルがこの規範集を独占していたため、人間は絶えず殺人や食人、近親相姦を繰り返していた。この規範集はモヤン・カピルによって盗み出され、人々に分け与えられた。それから人々は秩序ある生活を送れるようになった。

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モヤン・メルル

Moyang Melur

マレーシアのマ・ベティセク族の神話に登場する精霊。月に棲んでいる半人半虎の姿をした精霊だとされる。人間の文明的な振る舞いに関する規範集を守っている精霊で、モヤン・メルルがこの規範集を独占していたため、人間は絶えず殺人や食人、近親相姦を繰り返していた。この規範集はモヤン・カピルによって盗み出され、人々に分け与えられた。それから人々は秩序ある生活を送れるようになった。

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モラ

Mora

ポーランドにおける邪悪な精霊。白い皮袋や影、白ネズミ、馬など色々な姿に化けられるが、たいてい蛾の姿をしている。人間が眠っている間に部屋の中に入り込み、血を吸ったり悪夢を見させたりする。モラは生きている人間の魂が眠っている間に抜け出たものだとされることがある。一説にモラを出す人間は眉毛がつながった者だとされる。

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モラクス

Morax

ソロモン王による著とされ創作された一連のグリモア(魔術書)、いわゆる「ソロモン文献」の一つである「レメゲトン」の第一部「ゴエティア」に記された、ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。「フォラクス(Forax)」、「フォルファクス(Forfax)」、「マラクス(Marax)」、「フォライー(Foraii)」などの名でも呼ばれる。悪魔に貶められたアンモン人の神「モロク」をモデルとすると思われる。召還者の前に牡牛の頭をもった人間の姿で現われ、石や植物の秘密、占星術や天文学の知識、魔術師が使役するための使い魔などを授けるとされる。

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モリガン

Morrigan

島のケルトの戦いの女神。「モリグ(Morrig)」、「モリージン(Morrígin)」とも呼ばれる。戦いには必ず戦場に(モリガン本来の)女性の姿か、様々な動物の姿で現れるがとくにカラスの姿を好むという。女性の姿のときは二本の槍を携え、二頭の赤い馬に引かれた馬車にのり、真っ赤なドレスをまとい赤い瞳をもった女性としてあらわされる。モリガンはマッハネヴィンバーヴという三人の侍女を従えており、彼女達と協力して戦場を霧で満たし炎の雨を降らせ血の河を生み出す。三人の侍女とモリガン自身が同一視されることも多い。また彼女は叫びは魔法を帯びており、戦士達を戦いの狂気へといざなうとされる。神話上で、モリガンはこの能力で常に戦いの成り行きを制してきた。あるときはトゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)に味方し、「第一次マ・トゥーラの戦い」においてフィル・ヴォルグ続を滅ぼした。彼女はまたアーサー王伝説やクー・フーリンの物語など数多くの英雄伝説でも、英雄を誘惑する魔女として活躍している。

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モルクル・クア・ルアン

Morkul Kua Luan

オーストラリアの先住民族、アボリジニーの信仰における精霊。彼らの日常的な食糧であったモロコシの守護霊とされる。

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モレ

More

リトアニアの民間伝承に登場する精霊。豊穣を擬人化した女性の自然霊であり、告解火曜日(Mardi Gras)にはモレをかたどった像を祭る風習がある。

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モロク

Moloch

ヨルダン川東岸に住んでいたアンモン人の信仰していた神。「モレク(Molech)」とも呼ばれる。モロクは生贄を要求する神であり、多くのイスラエルの民がモロクのために子供を炎の中に投じて生贄にしたと考えられている(モロクという名称は神の名前ではなく、生贄の儀式を刺す名前であるという説もある)。生贄の子供たちはエルサレムの近くのトペテという場所のヒノムの谷で焼かれた。ここは生贄を行うために作られた場所だった。モロクとはカルタゴの神バール・ハモンのことではないかとする研究もある。

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モン

Mon

アフガニスタンにおける英雄神にして戦士の神。至高神イムラの最初の子供とされる。悪魔や巨人達から人間を守っているとされる。また天と地の橋渡しをするメッセンジャーであり、人々の願いを空へと伝える役目も担っている。巨大且つ剛健な神でその足跡は氷河として残り、雲や霧を支配する天候の神であり、また流氷の神でもある。モンは、一部の伝承では創造神のような働きをしているが、これはイムラの業績が長子であるモンに反映されたものだとも考えられる。ある伝承によれば巨人達が太陽と月を黄金の屋敷に閉じ込めて隠してしまったとき、子供にばけて巨人の母の庇護を受けて屋敷に入ることに成功し、太陽と月を救い出したという。モンは黄金の弓矢をもつ戦士か背中を丸めた牡牛の姿で表現される。また神像の代わりに大きな石板の左右に小さな石板を置いたものによって象徴されることもある。

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文曲星 もんごくしょう

Wénqū xīng

仏教において北斗七星の一尊で第四星。陰陽道では「天権(てんけん)」と呼ばれる。北を司り水曜木曜の精とされ、本地仏は東方にある無憂世界の「最勝吉祥如来(さいしょうきっしょうにょらい)」あるいは十一面観音とされる。像容は「尊星王軌」をひいた「覚禅鈔」に拠れば、青黒色の身で左手を前に負けて垂れ、掌中から水が流出する。

種字は「प्र(pra)」「रो(ro)」、「हुं(huṃ)」、真言は「唵伊利陀羅吒吽莎呵(おんいりだらたうんそわか)」ないし「唵婆帝那吉那盧莎呵(おんばてりなきなるそわか)」。

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文殊八大童子

もんじゅはちだいどうじ

仏教において文殊菩薩の眷属とされる八人の童子。「八智尊(はっちそん)」とも呼ばれ胎蔵界曼荼羅では菩薩として描かれる。「唵=ॐ(oṃ)」、「阿・噁=आः(āh)」、「味・尾=वी(vī)」、「羅=र(ra)」、「吽=हूं(hūṃ)」、「欠・怯=ख(kha)」、「者・左=च(ca)」、「落・洛=रः(raḥ)」の八字を真言とする文殊菩薩である、「八字文殊菩薩(はちじもんじゅぼさつ)」の八種の功徳をそれぞれ司るとされる。これらの童子は八字のうちの一字を種字とする。

《文殊八大童子》
種字 漢名 梵名 方角

01: 唵=ॐ(oṃ)

請召童子

アーカルシャニー

02: 阿・噁=आः(āh)

計設尼童子

ケーシーニー

東北

03: 味・尾=वी(vī)

質多羅童子

チトラー

04: 羅=र(ra)

烏波計設尼童子

ウパケーシーニー

東南

05: 吽=हूं(hūṃ)

光網童子

ジャーリニープラバ

06: 欠・怯=ख(kha)

地慧童子

ヴァスマティー

西南

07: 者・左=च(ca)

無垢光童子

ヴィマラプラバ

西

08: 落・洛=रः(raḥ)

不思議慧童子

アチンティヤマティ

西北

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文殊菩薩 もんじゅぼさつ

Mañjuśrī

仏教において諸仏の智慧を象徴する菩薩。梵名を「マンジュシュリー(Mañjuśrī)」と称し、これを音訳して「文殊師利菩薩(もんじゅしりぼさつ)」、略して文殊菩薩と呼ばれる。また意味による漢訳より「妙徳菩薩(にょうとくぼさつ)」、「妙吉祥菩薩(みょうきっしょうぼさつ)」、「法王子菩薩(ほうおうじぼさつ)」などの名前でも呼ばれる。

「三人寄れば文殊の知恵」などと今でも言われるように、知恵を司る菩薩であり、受験生や学問を志す者に特に信仰されている。実在の人物とされ、釈迦の名代として釈迦の弟子であった「維摩居士(いまこじ=ヴィマラキリーティー)」と論戦を交えた話が伝わっている。普賢菩薩ともに釈迦如来の脇侍であり、釈迦如来の左に配され合わせて「釈迦三尊」と称する。一般的に知恵を象徴する剣を持ち獅子の背の蓮華に座した姿で表されるが、他にも様々な姿で表される。五髻の文殊が一般的で、これを「五髻文殊(ごけいもんじゅ)」、「五字文殊(ごじもんじゅ)」と呼ぶが、他にも一髻の「一字文殊(いちじもんじゅ)」、六髻の「六字文殊(ろくじもんじゅ)」、八髻の「八字文殊(はちじもんじゅ)」などが見られる。さらに文殊菩薩の無垢で執着のない智恵を象徴する子供の姿の文殊菩薩も多く、これは「兒文殊(ちごもんじゅ)」と呼ばれる。

中国においては文殊菩薩の乗った獅子を「善財童子(ぜんざいどうじ)」が先導し、「憂塡王(うでんおう)」が手綱を引き、「仏陀波利三蔵(ぶっだはりさんぞう)」と「最勝老人(さいしょうろうじん)」が従う姿を描いた「五台山文殊(ごだいさんもんじゅ)」と呼ばれる形で篤く信仰された。これは旧華厳経において文殊菩薩の住所とされている「清涼山(しょうりょうざん)」を中国にある五台山に比定したもので、文殊菩薩と前述の4人を含めた五尊は「文殊五尊(もんじゅごそん)」と呼ばれる。またこれが発展し雲に乗って文殊五尊が五大台山に向かう様子を描いた「渡海文殊(とかいもんじゅ)」も成立した。

胎蔵界曼荼羅の中台八葉院西南方に開敷華王如来から発生した菩薩として配されるものは黄色の身色で五髻、左手に三鈷杵の乗った青蓮華を、右手に梵篋を持つ。文殊院の中央に主尊として配されるものは金色の身色で護髻の童子形であり、金剛印の乗った青蓮華を右手で持ち白蓮華台に坐す。

密号は「吉祥金剛(きちじょうこんごう)」ないし「般若金剛(はんにゃこんごう)」、種字は「अ(a)」、「अं(aṃ)」、「धं(dhaṃ)」、「के(ke)」、「मं(maṃ)」など、真言は「南麼三曼多勃馱喃(なもさんまんたぼだなん)係係矩忙囉微目吃底鉢他悉體多(けいけいくもらびもくきゃちはちしつていた)娑麼囉娑麼囉鉢囉底然莎訶(しゃまらはらちねんそわか)」、「阿羅跛者曩(あらはしゃな)」、印相は梵篋印ないし虚心合掌して両手の中指を薬指の背に付け人差し指を曲げ親指に絡めたもの。三昧耶形は青蓮華上金剛杵、青蓮華上三股、梵篋、智剣。

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モントゥ

Monthu

エジプト神話に登場する戦争の神。「モント(Month)」、「モンチュ(Montu)」とも呼ばれる。元々は第4ノモスの州都テーベ近郊のヘルモンティスという都市で信仰されていた神だが、テーベで興った第11王朝(B.C.2055~B.C.1985)は自分たちの権力を正当化するためにモントゥを国家の守護神とした。その後モントゥ信仰は衰退したが、モントゥがアモンに吸収されたり、アモンがレーと同一視されていく過程で、モントゥは王族の軍神であり、太陽の破壊的な面を象徴する化身だと考えられるようになったいった。レーの空の旅(太陽の運行)に付き添い、セトとともにレーを怪蛇アポピスから守ったとされる。ハヤブサの頭部を持ち、二匹のウラエウスと二本の羽で飾られた太陽円盤を頭上に戴き、ケペシュと呼ばれる内反りの剣、あるいは槍を持った男性の姿で描かれる。また時には牡牛の頭部を持つ男性や牡牛そのものとして表される場合もあった。

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