Fēi

中国の最古の地理書とされる「山海経」に言及されている、凶兆となる生物の一つ。東山の太山に棲んでおり、一つ目で白い首、蛇の尾を持つ牛のような獣だという。これが陸を歩けば草が枯れ、水を歩けば水が尽きるという。この獣が現われると天下が大疫病に見舞われるとされる。

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ピー

Phi

タイの民間伝承における様々な自然の精霊に対する総称名。ミャンマーでいうナットにあたるもの。ピーの機嫌を損ねる行為は人間に病気や不幸といった悪影響を及ぼすが、ピーの好意を引き出すことができれば豊作や大漁などに恵まれるという。。ピーは大気中や土中を含め、森や河川湖沼、家の中、海、といったあらゆる場所に住んでおり、そのうちの幾つかは固有名称を持っている。

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ビーアスト・ヴェラッハ

Biasd Bheulach

ヘブリディーズ諸島にあるスカイ島のオデイル峠に出没したという怪物。夜にグレイハウンドや一本足の男の姿で現われ、吼え声や金切り声を発したという。夜間に峠越えをしようとする者を襲うとされる。

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肥遺 ひい

Féi-wèi

中国の地理書、「山海経」などに見える、旱魃を起こす凶兆とされる怪物。「肥𧔥」とも書く。中国の西方、太華山や英山、更に北方の渾夕山などにいるとされる。「山海経」には「肥𧔥」が一件、「肥遺」が二件、「肥遺蛇」が一件の合計四件の記載があり、それぞれの説明も異なっている。

その姿については、脚が六本、翼が四枚ある蛇、ないし一つの首に二つの体のついた蛇、あるいは鶉のような姿で黄色い体に赤い嘴を持つ鳥だという。鳥の姿の「肥遺」は食べれば癩(らい=ハンセン病)を癒し、また虫下しにもなるとされるが、変わって蛇の姿の「肥遺」が国にに現れると、その国は大干ばつに見舞われるという。

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ヒイシ

Hiisi

フィンランドの叙事詩『カレワラ』に登場する魔神。「ケイトライネン(卑しむべき者)」、「ユタス(ユダ)」など、無数の別名を持つ。ヒイシ自体がカレワラに登場することはほとんどないが、この世の悪いことは何でも「ヒイシのもの」と呼ばれる。例えば、蜂は「ヒイシの小鳥」であり、蛇の毒や蟻の酸は「ヒイシの恐ろしきもの」と表現する。ただしここでいう「悪」とは「強さ」を指す言葉でもある。ヒイシの造った魔の大鹿は頭は切り株、角は柳の枝、足は岸辺の小枝、目は睡蓮のつぼみ、肉は腐木でできており、ヒイシが「暴れて来い」と命じるとラップランド中を荒らしまわった。

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ヒイントカビイット

hiintcabiit

北米西部に住むネイティブアメリカンの一部族、アラパホ族におけるホーンドサーペント(角のある蛇)。山地の川や湖に棲んでいるとされる角の生えた巨大な蛇で、「クロー・ウーマン(Crow-woman="カラスの女"の意)」、および「リヴァー・ウーマン(River-woman="川の女"の意)」と呼ばれる2人の妻がいるとされる。ある首長の兄弟であった「ライム・クレイジー(ホーイイーティイノホーキー(Ho'eeetiinohookee)とも)」はならず者であったため、川向こうの山に放逐されたが、鷲のアドバイスにより川の番人であったヒイントカビイットの角に鷲の羽を括り付けて背中によじ登り、(多少の傷は負ったが)川を無事に渡ることができた、という話が伝わっている。

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ビヴァスヴァット

Vivasuvat

インドの「リグ・ヴェーダ」に登場する太陽神の一人。インド=イラン時代にさかのぼる神であるが、独立した賛歌はささげられていない。その語義は「輝く者」であり、リグ・ヴェーダでは死神ヤマおよび人祖マヌの父とされている。

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美音言鳥 びおんごんちょう

Kalaviṅka

毘羯羅大将 びからたいしょう

Vikarāla Mahā-senāpati

仏教において夜叉の頭領の一人であり、薬師如来の眷属である十二神将の一人。サンスクリット名を「ヴィカラーラ・マハーセーナーパティ(Vikarāla Mahā-senāpati)」といい、「毘伽羅(びから)」とも訳される。「ヴィカラーラ(vikarāla)」は「非常に恐ろしい」といった意味。釈迦牟尼仏を本地とし十二支のうち亥ないし子の神とされる。

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日河比売

ひかわひめ

「古事記」において須佐之男命の子孫の系譜を語る段に登場する女神。淤迦美神の子神で布波能母遅久奴須奴神との間に深淵之水夜礼花神を生んだとされる。名前の「ヒカワ」はおそらく「氷川」の書換えであり、水神である淤迦美神が親神である点からも川と水を象徴する神と考えられる。

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ピクシー

Pixie, Pixy

イングランド南西部のサマーセット、デヴォン、コーンウォールなどに見られる妖精。「ピスキー(Piskie)」とも呼ばれる。名前はホブゴブリンの別名「パック(Puck)」に愛称語尾「-sy」がついた「Pucksy」から派生したとも、「小人」を表す「ピグミー(Pigmy)」が元になったとも言われる。洗礼を受けないで死んだ子供の霊とも、身体を離れた魂(生霊)ともいわれ、大きさは手に乗るほど小さいが、大きくも小さくもなれるとされている。髪は赤く鼻は上を向いており、やぶにらみの目は緑色で、姿は美しく、いつも緑の服を着ているという。群れで生活し、踊りが好きなので、夜に虫やカエルの鳴き声に合わせて輪になって踊る。イタズラ好きで、旅人を迷わせるが、その場合は上着を裏返しに着ると元の道に戻れるとされる。

ピクシーは輪になって踊るため、草の葉などに「フェアリーリング(fairy ring)」と呼ばれる環状の模様を残すときがあるが、今ではこれは菌類の発生によって草にできる「菌環」と呼ばれる現象であることが分かっている。

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ピクス

Picus

ローマ神話における田園の神。サトゥルヌスの息子で、妻はポモナ、あるいはニンフのカネンスであるとされる。名前はラテン語で「きつつき」という意味で、ピクスは変身することができ特にマルスの聖鳥であるキツツキに変身するのを好んだ。別の説では魔女神キルケの求愛を退けたためにキルケにキツツキに変えられてしまったという。いずれにしてもキツツキの鮮やかな色の羽毛はピクスの身につけていた衣装の名残とされる。予言の力も持っており、マルスの神殿の木の柱にとまって神託を下したという。未来のこと、特に天気を予言する力を持つと信じられ、畑と家畜の守護者として、農民や牧人に崇拝された。

伝説によれば、ピクスは息子であるファウヌスとともにローマの第二皇帝ヌマ・ポピリウスに捕まったことがある。ヌマ・ポピリウスはエゲリアから知恵を授かり、ピクスらが水をのみにくる泉のほとりにぶどう酒を置いた。二人は酔っ払い簡単につかまってしまった。ピクスらは様々に変身して王を動揺させようとしたが通じず、やむなくユピテルを天から降ろす方法を王に教えた。こうして王は神の投げる稲妻の避け方や供物の捧げ方を聞き出した。ユピテルは人間一人捧げるように求めたが、懸命な王はニンニク、人間の髪、生きた魚でこれを済ませたという。 またピクスはレムスとロムルス(伝説中のローマの祖)を育てた牝狼(マルスの聖獣)を助けたり、東イタリアの民族移動の先導になったと伝えられる。

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毘倶胝菩薩 びくちぼさつ

Bhṛkuṭī

仏教における菩薩の一尊。「毘倶胝」は「びくてい」とも読む。サンスクリット名を「ブリクティー(Bhṛkuṭī)」といい、眉の皺を意味する。毘倶胝菩薩のほか、「毘倶知菩薩(びくちぼさつ)」、「毘哩倶胝(びりくち)」、「大毘倶胝(だいびくち)」、「苾句胝(ひくち)」、「毘倶胝観世音菩薩(びくちかんぜおんぼさつ)」、「毘倶胝天女(びくちてんにょ)」などの名称で呼ばれる。

観音菩薩の額の皺から生じた忿怒尊であり、怠慢や我執の生じた諸金剛仏に対し忿怒をもって恐怖を抱かせ自戒させる仏尊であるという。日本ではほぼ信仰されず、胎蔵界曼荼羅のみに見られるが、チベット仏教ではターラーの一側面である黄色のターラーとして「トニェルチェンマ(Khro gnyer can ma, Tronyer chenma)」ないし「ラモトニェルチェン(Lha mo khro gnyer can, Lhamo tronyerchen)」として信仰される。胎蔵界曼荼羅では観自在院の内列(最右列)第三位に配される。その像容は一面四臂で、右手は数珠鬘を持ち施願印を結び、左手は蓮華と軍持を持つ。またその円光は黄色、白色、赤色の三色が備わったもので、それぞれ増益、息災、降伏を意味するという。

密号は「降伏金剛(こうぶくこんごう)」、「定慧金剛(じょうえこんごう)」、「除障金剛(じょしょうこんごう)」、種字は「भृ(bhṛ)」、「त्रा(trā)」、真言は「南麼三曼多勃馱喃薩婆陪也怛囉散儞𤙖薩破吒也莎訶」、「薩縛佩也怛羅散儞娑破吒也娑縛賀(さらばびやたらさんにそはたやそわか)」、三昧耶形は数珠鬘。

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ピクトリー・ブラッグ

Picktree Brag

イングランドのガーランド地方に伝わる意地悪な妖精。旅人を困らせるのが大好きで、夜道を歩く旅人の前を走って怖がらせたり、疲れきった旅人を助けるフリをして背中に乗せ、滅茶苦茶に走り回ってへんぴな所で振り落としたりする。また色々な動物の姿や首無し男のような怪物に変身することも可能で、その得意技で人間を騙し悪さをする。

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彦狭知神

ひこさちのかみ

日本記紀神話に登場する神。「ひこさしりのみこと」とも読む。「日本書紀」では「彦狭知神」、「古語拾遺」では「彦狭知命(ひこさちのみこと/ひこさしりのみこと)」と記される。日本書紀に拠れば、高御産巣日神が国譲りに際し大物主神(→大国主神)に祀るために派遣された、神事に関連する神の一人で、「作盾者(たてぬい=楯を造る職人)」として遣わされた。また「古語拾遺」では天照大御神の岩戸隠の際に手置帆負神 とともに「天御量(あまつみはかり=天上の物差し)」をもって大小の木材を切り出し「瑞殿(みずのみあらか)」を造宮し、(祭具としての)笠や矛、盾を造ったという。また同じく古語拾遺の他の段では布刀玉命の孫とされる「天富命(あめのとみのみこと)」に手置帆負神及び彦狭知神の孫たちが率いられ、「斎斧(いみおの)」と「斎鉏(いみすき)」を用いて材を切り出し「皇孫命(すめみまのみこと)」つまり天孫邇邇藝命 を奉るための「美豆乃御殿(みずのみあらか)」を造ったという。

神名については、「サシ(物差し)を知る」ことをもって「サシリ」とする説や「幸彦(さちひこ)」の字が逆になり「ヒコサチ」となった、とする説などがある。これらの神話から計量や建築、工作を司る神として、手置帆負神と ともに岡山県岡山市中井町の「天計神社(あまはかりじんじゃ)」や日枝神社境内社の「麁香神社(あらかじんじゃ)」に祭神として祀られるほか、「楯縫神社(たてぬいじんじゃ)」や「斎(齋)神社(いつきじんじゃ)」などでも祀られる。

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彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊

ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと

日子穂穂手見命

ひこほほでみのみこと

日本記紀神話にみえる神。本名は「天津日高日子穂穂手見命(あまつひこひこほほでみのみこと)」だが、略して日子穂穂手見命と呼ばれる。「火遠理命(ほおりのみこと)」、「火折尊(ほのおりのみこと)」、「火折彦火火出見尊(ほおりひこほほでみのみこと)」、「彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)」、「山佐知毘古(やまさちびこ)」など多くの別称がある。また一般的には「海幸山幸」物語の「山幸彦(やまさちひこ)」として知られている。邇邇藝命木花之佐久夜毘売の間に出来た三神の末子で、火照命(海幸彦)は兄にあたる。豊玉毘売命との間に鵜葺草葺不合命をもうける。

猟師である山幸彦と、漁師である海幸彦の兄弟はお互いの仕事に飽きて、互いに道具を取り替えて出かけたが、海幸彦は兄の大切にしていた釣り針をなくしてしまう。釣り針を返すように責められた山幸彦は、塩椎神の計らいにより綿津見神の宮に赴き、海神の娘豊玉毘売命を娶り、釣り針と潮満瓊(しおみつたま)、潮涸瓊(しおひるたま)とを得て帰り、兄に釣り針を返した。兄の海幸彦は以前のように魚がつれなくなったと山幸彦に言いがかりをつけたため、山幸彦は潮満瓊と潮涸瓊を使って兄を懲らしめたという。

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久伊豆大明神

ひさいずだいみょうじん

日本の埼玉県荒川河畔に神社を多く持つ神。久伊豆神社の多くは祭神を大国主神とするが、「久伊豆」が「クイズ」とも読めることから現在では「クイズ大明神」、「クイズの神様」として信仰をあつめている。

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ヒザマ

 

奄美群島の沖永良部島で、家にとり憑いて火事を起こすとされる鳥の妖怪にして邪神。火事の元凶だとされる。鶏の姿でごま塩色の羽毛をもち、頬は赤い。これに似た鶏を飼うことは嫌われている。家の中に空の瓶や桶があるとその中に宿るので、これらに水を入れておくか逆さまにすることでヒザマが宿らないように防ぐという。ヒザマを追い出すためにはユタ(祈祷師)を呼んでヒザマを追い出す儀式を行う必要がある。

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ビシャガツク

 

日本の福井県坂井郡における怪異の一種。冬のみぞれが降る日に出現し、歩く人の後を追って「ビシャビシャ」と音を出すが姿は見えない。名は「ビシャが憑く」という意味か。

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毘舍闍 びしゃじゃ

Piśāca

ヒンズー教のピシャーチャが仏教にとりいれられたもの。「毘舍闍(びしゃじゃ)」の他、「毘舍闍鬼(びしゃじゃき)」、「毘舍遮(びしゃしゃ)」、「毘舍支(びしゃし)」、「畢舍遮(ひしゃしゃ)」、「臂奢柘(ひしゃしゃ)」など様々に音写されるほか、足が反り返っているとされるところから「反足(はんそく)」、「比耶反足(ひやはんそく)」、「反足羅刹(はんそくらせつ)」、人肉あるいは人の精気を食べるとされることから「食肉(じきにく)」、「噉人精気鬼(かんじんしょうきき)」、「食血肉鬼(じきけつにくき)」、「癲狂鬼(てんきょうき)」など様々な名前で仏典に登場する。八部鬼衆持国天の眷属として、また二十八部衆の一人として列されるほか、胎蔵界曼荼羅の外金剛部院(最外院)では男性形のピシャーチャを「鬼衆(きしゅう)」、女性形の「ピシャーチー(Piśācī)」を「鬼衆女(きしゅうにょ)」として南方に配置される。

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ピシャーチャ

Piśāca, Pisaca, Pishacha

ヒンズー教における種族名の一つであり、アスララークシャサなどとともに悪鬼や鬼神の類を指す名称。墓地を根城にし、闇を好み、人肉を食べるとされる。「ピシャーチャ」は男性名詞であり、女性のピシャーチャは「ピシャーチー(Piśācī)」と呼ばれる。仏教にも「毘舍闍(びしゃじゃ)」などの名前で取り入れられている。

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毘沙門天 びしゃもんてん

Vaiśravaṇa

仏教において四方を守護する四天王の一人であり、北方の守護神。サンスクリット名を「ヴァイシュラヴァナ(Vaiśravaṇa)」という。この名はインド神話に登場するクベーラの別称であり「ヴァイシュラヴァスの息子」という意味を持つが、「ヴァイシュラヴァナ」という言葉自体が「良く聞きうる」という意味にも取れることから、これを漢訳して「多聞天(たもんてん)」や「多聞子(たもんし)」、「普聞(ふもん)」、「種種聞(しゅしゅもん)」などと称する。また音写での表記は「毘沙門天」の他に「吠室羅末拏(べいしらまな/べいしらまぬ)」、「毘沙羅門(びしゃらもん)」、「毗沙門(びしゃもん)」、「鞞室羅懣囊(ひしらまんのう)」など。また他に北方を守護することから「北方天(ほっぽうてん)」と呼ばれることもある。

他の四天王と同じく帝釈天の眷属であり、十二天や十六善神、二十八部衆の一尊であり、四天王の中でも特に単独で信仰されることが多い。夜叉羅刹の頭領とされるほか、八大夜叉大将二十八使者など多くの眷属を従える。また「槃闍那(はんじゃな)」という名の妾(中阿含經)、「那羅鳩婆(ならくば)=ナラクーヴァラ(Nalakūvara)」という子(佛所行讃)、或いは五太子(毘沙門儀軌)、またあるいは九十一子(大方等大集経)がいるとされる。

須弥山の中腹北方に住んでいるとされ、仏法を護持し財宝と福徳を司る神であり、また戦勝としても信仰された。「多聞」の名前の通り、仏が説法する道場の守護をする神なので誰よりも説法を多く聞いているとされる。一般的にその姿は忿怒形の甲冑姿で、宝棒と宝塔、あるいは宝剣や三叉戟を持つ。胎蔵界曼荼羅でも北方の守護神として外金剛部院(最外院)の北(左)方中央に配される。室町時代以降は七福神の一人としても信仰された。

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毘首羯磨 びしゅかつま

Viśvakarman

インド神話の「ヴィシュヴァカルマン(Viśvakarman)」が仏教に取り入れられ、漢字に音訳されたもの。他に「毘首建磨(びしゅけんま)」、「毘首羯磨天(びしゅかつまてん)」、「毘湿縛羯磨(びしばかつま)」、意訳して「妙匠(みょうしょう)」、「巧化師(こうけし)」、「種種工巧(しゅじゅくぎょう)」、「工巧天(くぎょうてん)」とも称する。帝釈天の配下として三十三天(忉利天)に住する神で、彫刻、工芸、建築などの美術を司る神とされる。金剛界曼荼羅中の金剛業菩薩は毘首羯磨と同体とされる場合がある。

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尾宿 びしゅく

Mūla

密教の宿曜道において二十八宿及び二十七宿の一つ。インドでは「ムーラ(Mūla)="根"の意」と呼び、尾宿、「根元宿(こんげんしゅく)」、「辰天(しんてん)」と訳すほか、「暮羅(もら)」、「牟藍(むらん)」と音写する。また日本では「尾/足垂星(あしたれぼし)」の和名を当てる。胎蔵界曼荼羅では西方(下側)に配され、像容は左手に赤珠の乗った蓮を持つ。

種字は「मु(mu)」、真言は「唵慕羅娑縛賀(おんぼらそわか)」、三昧耶形は蓮上星。

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ビースト・オブ・ジ・アポカリプス

The Beast of the Apocalypse

ピスハンド

Pisuhänd

エストニアの民話において家に住んでいるとされる蛇に4本の足がついた姿のドラゴン型の魔物。「トゥリヘンド(Tulihänd)」とも呼ばれる。また「プキス(Pukis)」(ラトヴィア)、「プキュス(Pūkys)」「アイトワラス(Aitvaras)」「カウカス(Kaukas)」(リトアニア)、「プウク(Puuk)」「プーク(Puk)」(ドイツ)など、それぞれの地域によって名前や性格が異なる。全長60cmほどしかないが、家の主人の為に宝を盗んだり守ったりするとされる。一部の地方では翼を持ち空を飛ぶことが可能で、燃える尾を持っているとされる。

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微誓耶 びせいや

Vijayā

仏教において日天の妃とされる二仏尊の一。サンスクリット名「ビジャヤー(Vijayā="完全に破ること"の意)」の音写で他に「微惹耶(びじゃや)」、「毘社耶(びしゃや)」「尾惹野(びじゃや)」、「肥者耶(びしゃや)」などと音写するほか、「無勝(むしょう)」とも意味訳される。胎蔵界曼荼羅で日天の左右に誓耶とともに配されるほか、文殊菩薩の眷属ともされ、文殊院にも配される。

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ピタオ・コソビ

Pitao Cozobi

メソアメリカのサポテカ人に信仰されていたトウモロコシ(メイズ)の神。字義は「豊富な食料」。南部と山岳サポテカでは、それぞれ「ロククイ(Locucuy)」、「ベタオ・ヨソビ(Betao Yozobi)」と呼ばれる。この神はしばしば「コウモリ神」として登場する。収穫時に最初のトウモロコシの穂を集めるとき、特別な祝祭が行われたが、そこでは地元の家禽が生贄とされた。その血は主要な神々のために13辺のコバル(熱帯樹から抽出される樹脂)の香にふりまかれ、家の中庭にも撒かれた。このコバルは豊作祈願の祈りが唱えられている間に燃やされた。アステカのシンテオトルに相当する。

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ピタオ・ショー

Pitao Xoo

高地サポテカにおいて地震を司る神。この地域では頻繁に地震が起きていた。山岳サポテカでは「ラショー(Laxoo)」、南部サポテカでは「ラシェー(Laxee)」と呼ばれていた。

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饑神

ひだるがみ

日本において、人にとり憑いて空腹にさせ動けなくするという悪霊の一種。「ひだり神」、「びたり神」、「だり神」、「だり仏」、「だり」、「だる」、「たに」、「だに」、「だらし」、「ひむし」、「ひんど」など各地で異なった名で呼ばれる。「饑(ひだる)」とは空腹を表す。日本各地に出現するが、その姿や性格ははっきりしない。餓鬼の一種とも飢え死にした人の霊だとも言われる。出現するのは多くは山の中で、憑かれた者は突然空腹に襲われて動けなくなり、その場で昏倒したり死ぬこともあるという。南方熊楠の書によれば、和歌山県の雲取山に餓鬼穴と呼ばれる場所があり、どんなに満腹のときでもこれを覗き込むと饑神にとり憑かれ空腹になるという。饑神の症状は植物の腐敗ガスによる二酸化炭素中毒ではないかという説がある。

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畢宿 ひつしゅく

Rohiṇī

密教の宿曜道において二十八宿及び二十七宿の一つ。インドでは「ローヒニー(Rohiṇī)="牛の一種"を意味する」と呼ばれ、畢宿、「長育宿(ちょういくしゅく)」、「長養宿(ちょうようしゅく)」、「木者天(もくしゃてん)」と呼び、「虜喜尼(ろきに)」と音写する。また日本では「畢(あめふりぼし)」の和名を当てる。胎蔵界曼荼羅では東方(上側)に配され、像容は右手に赤珠の乗った蓮華を持ち、左手は見えない。

種字は「रो(ro)」、「हि(hi)」、「ह्र(hra)」、真言は「唵盧喜尼莎呵(おんろきにそわか)」、三昧耶形は蓮上星。

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畢方 ひっぽう

Bì-fāng

中国において、火災を引き起こす凶兆となる怪鳥。昔、山中で夜更かしをする者は火の中に竹の箸をくべ、それをはじけさせた音によって山の精霊を驚かし近づけないようにした。この音は「熚烞(ひつはく)」と称された。畢方という名前はここから来たとされている。従って、畢方は火の神であるとともに木の神でもあり、木の中で生まれると伝えられている。全体的に鶴のような姿をしているが、脚は一本しかない(翼が一枚しかないともされる)。青い身体に赤い斑点、白いくちばしを持っている。穀物を食べず常に火を加えている。畢方が現れた地は、必ず原因不明の大火に見舞われるとされた。しかし別の説では黄帝が引いた車に乗った黄帝を守る神鳥であるとされる。

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ヒッポカムポス

Hippokampos, Hippocampus

ギリシャ神話やローマ神話に登場する半馬半魚の怪物。名前は「海の怪物」を意味する。「ヒュドリプス(Hydrippus)」とも呼ばれる。頭と前脚を含む前半身は馬で、後部は(シーサーペントのような)魚の姿で鰭などが付いている(後脚がないことが多い)。金色の鱗で覆われているとされる場合もある。海神であるポセイドンやネプトゥヌスのチャリオット(戦闘用馬車)を引く馬とされる。時代が下り紋章や動物寓話集に登場する至り、魚類の首領や王のような立場で描かれ、前脚に水かきが付いたり、トビウオのような翼が生やされたりとといった改変が見られた。

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ヒッポケンタウロス

Hippocentauros

ギリシア・ローマ神話に登場するケンタウロスの分類的名称。馬の胴体と脚の上に人間の上半身と頭がついた姿の一般的なケンタウロスを指す。イクテュオケンタウロスオノケンタウロス、ドラコケンタウロス(竜と人間の混成)、プケンタウロス(牛と人間の混成)などと、本来のケンタウロスを区別する為の呼び名で「ヒッポ」は馬を意味する。大プリニウス(A.D.23~79)の「博物誌」(77)には、蜂蜜付けにされたヒッポケンタウロスがエジプトからローマに送られたという記述が見える。

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ピトゥ

 

奄美群島の与論島における海上に出現する魔物。夜間に島を遠くはなれた沖に船を出して漁をしようとすると舟の周囲に子牛のようなものが背中だけを見せ、舟をひっくり返さんばかりに暴れだすという。ピトゥに会ったときは決して罵ったりせず、「チュラしい(美しい)ものがおいでになりました」などの敬語を使って敬い場所を変えなければいけない。海上で死んだ人の霊がピトゥになると考えられている。

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人狐

ひとぎつね

日本において、狐憑の一種を起こすされる妖怪。「にんこ」とも読む。島根県の出雲、隠岐地方などに出現するとされる。人狐は子猫ほどの大きさで、胴体は細長く、茶褐色をしている。群れをなし、後ろ足だけで立って前足をかざして周囲を見回す癖があるとされる。人狐が憑いた家は「狐持ち」と呼ばれ、人狐はどこからか金を加えてくるので狐持ちの家は豊かになる。人に人狐が憑くとその人は狐のような振舞いをし、奇妙なことを口走るようになるという。

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一声呼び

ひとこえよび

日本の岐阜県大野郡の山間部における怪異、禁忌の一種。つまり山を歩いているときに自分を呼ぶ声が一度だけすることで、これは山の妖怪が呼び寄せようとしている声なので決して返してはならないという(したがって山中で仲間を呼ぶ時は二回続けて呼ぶことになっている)。

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一言主神

ひとことぬしのかみ

日本記紀神話にみえる神。「一言主大神(ひとことぬしのおおかみ)」、「葛城神(かつらぎのかみ)」、「葛城一言主神(かつらぎひとことぬしのかみ)」、「一言さん(いちごんさん)」などの名前でも呼ばれる。日本書紀、古事記ともに登場する神で、雄略天皇(418~479)が奈良県の西部にある葛城山に狩りに出かけた時に現れたとされる神。言霊の神格化されたものであり、吉凶や事の善悪を一言で断言する力をもっているとされる。一言主神は葛城山で修行したとされる修験道の祖、役行者の伝説にも登場する。それによれば、一言主神は役行者の呪縛されたうえで使役され、葛城山と金峰山との間に石橋を架けるという命を受けたが、自分の容貌の醜さを恥じて夜間しか仕事をしなかったので結局石橋は完成しなかったという。また「日本霊異記」には役行者の行いを朝廷に直訴した神として描かれている。一言の願いであればなんであれ聞き届けてくれる神として現在でも信仰されている。

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ビトソ

Bitoso

放浪民族ロマニー族(ジプシー)の民間信仰に登場する悪魔。名前は「絶食する者」の意。ケシャリイ(善良な妖精)達の女王アナがロソリコ(悪魔族)達の王に騙され犯された結果生まれた魔物の一つ。頭の沢山ある小さな虫の姿をしていて、人間に憑いて食欲を失わせ頭痛や腹痛を起こさせるという。またビトソの子供たちも人間に耳痛や歯痛、痙攣、疝痛といた問題を生じさせるとされる。

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人魂

ひとだま

日本における怪火現象の一つ。「玉火(たまび)」、「飛魄(ひはく・ひばく)」などとも呼ばれる。死んだ人間の身体から出た魂をこう呼ぶ。青白い発光体であるとされ、丸い本体に長い尾を持ち、墓場などを浮遊しているという。寺島良安の「和漢三才図会」によれば、地上から1mほどの高さを飛行し、落ちると破れて光を失うという。また、煮ただれた餅のようにも見え、人魂の落ちた場所には小さな黒い虫が多くいるともされる。

平安末期の歌学書「袋草紙」には、人魂に出会ったとき、「魂は見つ主は誰とも知らねども結びとどめよ下がひのつま」という歌を三度誦して、男は左、女は右の褄を結び、三日後にこれを解いた、という風習が紹介されている。衣服の一部を糸で結ぶ、あるいは衣服の紐を結ぶのは「魂結(たまむすび)」と呼ばれる霊魂が身体から遊離していくのを鎮めとどめるための一種の呪術であり、つまり人魂は死んだ人間のからだから遊離した霊魂だとされていた。現在では人魂や鬼火のような怪火現象は、人間やその他の動物の死体から発生する燐化水素の燃焼などによる現象と考えられている。

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一つ目小僧

ひとつめこぞう

日本において、目が一つで一本足の子供の姿をした妖怪の一種。「目一つ小僧(めひとつこぞう)」とも呼ばれる。大人の姿のものや目が極端に大きく口が耳まで裂けた一つ目小僧の亜種とも言うべきものも多く存在する。普通は雨が降っている日に木陰から急に飛び出し、人がびっくりして腰を抜かすと長い舌を出してぺろりと舐めて去る。一つ目小僧を山の神の一種とする地方もある。旧暦の2月と12月の8日に里の家たずねて目の大きさを自慢するが、家の前に網目の多い目籠をぶら下げておけば退散するという。

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一つ目入道

ひとつめにゅうどう

日本における妖怪の一種。見越入道のように見上げるほどに背が大きくなる一つ目の坊主姿の妖怪。静岡県では一つ目と三つ目の大入道が出現し見上げるとどんどん大きくなって人を驚かすが、「見越した、見越した」といえば消えるといわれる。狐や狸が化けているとされる時もある。

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一つ目坊

ひとつめぼう

日本の妖怪の一種。熊本県八代市の松井家に伝わる「百鬼夜行絵巻」に描かれた妖怪の一種で、一つ目でなおかつ額に赤い穴があり、そこから何か噴出している様が描かれているが、これが何を意味するかは判然としない。

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ビナイェ・アハニ

Binaye Ahani

北アメリカ大陸の南西地方に住むネイティブアメリカン、ナヴァホ族における怪物の一つ。「ビナイェ・アルバニ(Binaye Albani)」とも。グロテスクな体に手足のない姿で双子であらわれる。アナイエを構成する怪物の一人。

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ピナクル・グルース

Pinnacle Grouse

アメリカの噂話やほら話を起源とする怪物、フィアサム・クリッターの一種。名前は「高峰のライチョウ」を意味する。片方しか翼がない鳥で円錐状の山に棲んでおり、翼がない方の体を山肌に沿わせながらでないと飛ぶことができない。このためピナクル・グルースは山の周りを一方向にしか飛ぶことができない。

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ヒーヌムン

 

奄美群島の沖永良部島において、芭蕉の下にいるとされる木の精。これに会うと身震いがして動けなくなるという。夜中、寝ている時に急に体が動かなくなった時、これを「ヒーヌムンニウサユン」といい、ヒーヌムンが人の上にのしかかってきているからだとされる。アコウの木の下に住んでいるともされる。「ヒーヌムンニウサれる」時は「東側のアコウを切ろう」といってみたり、枕元に刃物を置いたりすると良いとされる。

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ヒネ・テ・イワイワ

Hine-te-iwaiwa

ニュージーランドのマオリ神話における、機織を司る女神。タネ・マフタヒネ・プー・テ・フエとの間に生まれた女神で「ファレ・ポラ(Whare-pora)=機織小屋」の守護神とされる。また理想的な母親、女性像として信仰され、出産の時はヒネ・テ・イワイワに祈りが捧げられる。

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ヒネ・ヌイ・テ・ポ

Hine-nui-te-po, Hine-nui-te-pō

ニュージーランドのマオリ神話に登場する、冥界の女王。名前は「夜(闇)の偉大なヒネ」を意味する。ある日森の神タネ・マフタは人間を創ろうと思い立ち、赤土を使って女性の体をこしらえた。この赤土はタネ・マフタが「父たる空」ギ・ヌイと「母たる大地」パパ・ツ・ア・ヌクを引き離した時に引きちぎれた腱であり、特別な土だった。こうして生まれた「ヒネ・アフ・オネ(Hine-ahu-one="泥を持ったヒネ"の意)」はタネ・マフタと交わり、「ヒネ・ティタマ(Hine-tītama)」を生んだ。タネ・マフタはヒネ・ティタマとも交わり更に多くの娘が生まれた。ある時自分の夫が自分の父である事を知って愕然としたヒネ・ティタマはたいそう恥じ入り、地下世界に隠遁することを決めた。こうして彼女は冥界「ラロヘンガ(Rarohenga)」の女王であるヒネ・ヌイ・テ・ポとなった。

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ヒネ・プー・テ・フエ

Hine-pū-te-hue

ニュージーランドのマオリ神話における音楽の女神。名前は「瓢箪の笛のヒネ(女神)」といった意味。タネ・マフタヒネ・ラウ・ア・モアとの間に生まれた子神で、瓢箪(フエと呼ばれる)によって作られた楽器とそれによって作られる音楽を司る。

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ヒネ・ラウ・ア・モア

Hine-rau-a-moa, Hine-rau-ā-moa

ニュージーランドのマオリ神話における、黎明(夜明け)の女神。タンゴタンゴワイ・ヌイとの間に生まれた子供の一人で、人間の祖先、あるいは母とされることもある。森と植物の神タネ・マフタの配偶神でありヒネ・プー・テ・フエヒネ・テ・イワイワを生んだ。

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ピ・ネレスケ

Pi neresk

ロシアのマリ人(チェレミス人)の民間信仰における悪魔(ケレメト)の一種。名は「犬の鼻」を意味する。その名の通り鼻は犬のものであるものの、全体的には人のような姿をしており、なおかつ手と足が1本ずつしかない。森の中に潜んで2人組で行動し、ピ・ネレスケの足跡を人のものと思い騙された被害者を襲い捕まえて食べてしまう。

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飛縁魔

ひのえんま

日本の妖怪の一種。「ひえんま」とも読む。「絵本百物語 桃山人夜話」に見える妖怪の名称で、美しい女性の姿で夜な夜な現れ、男をたぶらかし腎精浄血(じんせいせいけつ=精液と生血のこと)を吸い取りついにはその男を殺してしまうという。絵本百物語では仏説を交えたり世紀の悪女といわれる妲妃(だっき)や褒姒(ほうじ)を挙げたりして飛縁魔の怖さを解説しているが、これは要するに女性の怪しい色気を妖怪として比喩したものであろう。「飛縁魔(ひのえんま)」という名前は十干十二支の「丙午(ひのえうま)」からきたものと考えられる。丙午の丙と午はどちらも火を表すので、火の重なった丙午の年は火災が多く起こるとか、丙午に生まれた女性は気性が荒く夫を食い殺すなどといった俗信があった。

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火之迦具土神

ひのかぐつちのかみ

日本記紀神話に見える代表的な火神。「ほのかぐつちのかみ」とも読む。通俗的には「迦具土神(かぐつちのかみ)」、あるいは「火産霊神(ほむすびのかみ)」の名で呼ばれることが多い。「古事記」では「火之迦具土神」のほかに「火之夜藝速男神(ひのやぎはやおのかみ)」、「火之炫毘古神(ひのかがびこのかみ)」、「日本書紀」では「軻遇突智(かぐつち)」、「軻遇突智命(かぐつちのみこと)」、「火産霊(ほむすび)」の名が見える。ほかにも「加供都智命(かぐつちのみこと)」、「加具槌神(かぐつちのかみ)」、「賀久土神(かぐつちのかみ)」、「火結大神(ほむすびのおおかみ)」、「火武須比大神(ほむすびのおおかみ)」など、「カグツチ」や「ホムスビ」に対して実に数多くの字を当てられた名前で称される。「カグツチ」や「カガビコ」の「カガ」や「カグ」は「陽炎(かげろう)」や「輝(かがや)く」などの語根で「光輝」を表すので、「(ヒノ/ホノ)カグツチ」とは「光り輝く(火の)霊威」、「(ヒノ)カガビコ」は「(火が)輝く男性」と解釈できる。「ヒノヤギハヤオ」の「ヤギ」は「焼き」を意味し、火の焼き回る速さを掲揚したものと考えられる。

「古事記」によれば火之迦具土神は伊邪那岐命伊邪那美命との間に生まれた最後の子神であったが、伊邪那美命は彼を産んだばかりに陰部を火傷し死んでしまった。妻を失い嘆き悲しんだ伊邪那岐命は原因となった火之迦具土神の首を十拳剣(とつかのつるぎ)で刎ねて殺してしまう。この時、剣についた血からは石拆神根拆神などの八神が生じ、更に彼の体自身からは、頭に正鹿山津見神、胸に淤縢山津見神、腹に奥山津見神、陰部に闇山津見神、左手に志芸山津見神、右手に羽山津見神、左足に原山津見神、右足に戸山津見神と八柱の山の神が生じたとされている。「日本書紀」では埴山姫(→波邇夜須毘売神)の夫で稚産霊(→和久産巣日神)の親とされている。

火之迦具土神は火がもたらす色々な恩恵とそれに伴う危険性を司る神であり、火そのものに加え火が不可欠な陶器や鉄器、鍛冶などの産業をも象徴する。また火之迦具土神を鎮めることは防火に通じ、このため火伏せ、防火の神として全国の「愛宕神社(あたごじんじゃ)」に伊邪那岐命とともに祀られる。また焼き物の守護神として「陶器神社(とうきじんじゃ)」に、竈(かまど)の神として「荒神神社(こうじんじんじゃ)」に祀られる。

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飛魄

ひはく, ひばく

樋速日神

ひはやひのかみ

日本記紀神話における、刀剣と雷、或いは雷によっておこる火(古く雷は太陽から火を運ぶとされた)を象徴する神。「古事記」では「樋速日神」、「日本書紀」では同訓で「熯速日神」と記されている。「ヒ」は乾くこと、或いは太陽を、「ハヤヒ」は霊威を示すと考えられる。樋速日神の誕生は、伊邪那岐命火之迦具土神を切った時の血から生まれた、或いは天照大御神須佐之男命の誓約(うけい)の際生まれた、また或いは甕速日神の子などと諸伝あるが、いずれにしても刀や刀の神がその誕生に関わっており、刀と火、雷の関連性を示すものと考えられる。日本書紀では建御雷之男神の親とされている。

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狒狒

ひひ

日本において山に棲むとされた中国起源の怪獣の一種。猿が大型化したような姿をしており、猿が年をとると狒狒になるとされる。よく人間の女性をさらうとされ、人間の大人より身長が大きく、2mを超えることも珍しくないという。柳田国男の「妖怪談義」によれば、獰猛な動物で人を見ると大笑いをし、唇がめくれて目まで覆ってしまうという。そこで、狒狒を捕まえる時は笑わせておいて唇が目を覆う時を狙って唇の上から額を錐(きり)で突き刺せばよいという。

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比比羅木之其花麻豆美神

ひひらぎのそのはなまずみのかみ

「古事記」において、大国主神の子孫の系譜が語られる段に記されている神。活玉前玉比売神の親神とされる。「ヒヒラギ」を「柊(ひいらぎ)」のことだと考えられ、植物に関連する神だと思われる。

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ピフエチェニ

Pihuechenyi, Pea-hoo-chin-ee

チリに棲む先住民族であるマプチェ族の伝承や信仰に登場する怪物。翼をもった巨大な蛇の姿をしており、夜行性で、夜に森で眠っている人間の血を吸うとされる。同じくマプチェ族に伝わる怪物で、体液を吸う怪物としてコロ=コロという怪物もいる。

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ビフロンス

Bifrons

ソロモン王による著とされ創作された一連のグリモア(魔術書)、いわゆる「ソロモン文献」の一つである「レメゲトン」の第一部「ゴエティア」に記された、ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。また旧約聖書偽典「エノク書」の流れを汲むと称する「偽エノク文書」の目録にもその名が見える。博物学に詳しく、占星術や鉱物学、植物学に通じるとされる。その姿は著名な文献には記されておらず、ただ怪物の姿をとるとされている。コラン・ド・プランシー著「地獄の辞典」では26の軍団を率いるものとして紹介されている。

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姫蹈鞴五十鈴姫命

ひめたたらいすずひめのみこと

「古事記」や「日本書紀」などに言及される、神武天皇=神倭伊波礼毘古命の正妃とされる女神。姫蹈鞴五十鈴姫命は日本書紀での表記で、古事記では「富登多多良伊須須岐比売命(ほとたたらいすすきひめのみこと)」、「伊須気余理比売命(いすけよりひめのみこと)」、「比売多多良伊須気余理比売(ひめたたらいすけよりひめ)」などと記される。また「踏韛五十鈴姫命(たたらいすずひめのみこと)」、「比売多多良五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)」などの名前でも呼ばれる。古事記に拠れば、容姿端麗の勢夜陀多良比売を大物主神が見初め、勢夜陀多良比売が厠に入った時に丹塗り矢に変身し厠の下から富登(ほと=女陰)に突き刺したので、勢夜陀多良比売は驚き、「伊須須岐伎(いすすきき)=狼狽すること」走り去った。こうして生まれた娘だったので「富登多多良伊須須岐比売命(ほとたたらいすすきひめのみこと)」と名付けられたが、後に「富登」という名はどうかということで「比売多多良伊須気余理比売(ひめたたらいすけよりひめ)」と名を改めたという。姫蹈鞴五十鈴姫命は大国主神事代主神といった国津神を祖先とする女神であり、この女神を正妃に迎えることで天津神と国津神を統合する意味があったものと考えられている。

神倭伊波礼毘古命との間に「日子八井命(ひこやいみみのみこと)」、「神八井耳命(かんやいみみのみこと)」、そして後の綏靖天皇である「神沼河耳命(かんぬなかわみみのみこと)」を産んだ。奈良県橿原市にある「橿原神宮(かしはらじんぐう)」や大神神社の摂社である式内社「率川神社(いさがわじんじゃ)」、大阪府茨木市五十鈴町の式内社「溝咋神社(みぞくいじんじゃ)」など多くの神社に祀られる。

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ひもじい様

ひもじいさま

日本に伝わる怪異、或いは妖怪の一種。山口県周防大島にある源明峠の頂上付近には、行き倒れになった者の墓があり、峠を越えるときに「腹が減った」などと考えてしまうと足腰の自由を奪われ、腹が減って動けなくなるという。この祟りをなす墓、あるいは祟り自体を「ひもじい様」と呼ぶ。動けなくなった時は一口分でもいいので握り飯を備えると動けるようになるとされている。

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白衣観音 びゃくえかんのん

Pāṇḍaravāsinī

仏教において数多く存在する変化観音(→観音菩薩)の一つ。インド起源の変化観音の一つであり、名前はサンスクリットの「パーンダラヴァーシニー(Pāṇḍaravāsinī)」を訳したもの。パーンダラは「白黄色」、ヴァーシニーは「着る」ないし「住む」という意味があるためこう訳す。ほかに「白処尊菩薩(びゃくしょそんぼさつ)」、「大白衣観自在母(だいびゃくえかんのんじざいも)」、「服白衣観音(ふくびゃくえかんのん)」、「白住処観音(びゃくじゅうしょかんのん)」、「大白衣観音(だいびゃくえかんのん)」などの名前で呼ばれるほか、「半拏囉嚩悉寧(はんだらばしねい)」、「伴陀羅縛子尼(ばんだらばしに)」などと音写される。

白は清浄な菩提心の顕われであり、この清浄な菩提心によって諸仏の大悲(大きな慈悲)が生じるので観音部の母であるとされる。また後期密教では阿弥陀如来の配偶者で観音部諸尊を産んだ仏尊であるとも考えられた。名前の通り白蓮華中に住し白い衣をまとう姿で表される。日本では息災、除病、安産、育児などの神として広く信仰され、水墨画などにも描かれた。胎蔵界曼荼羅の観音院に描かれるほか、三十三観音の一尊としても知られる。

密号は「離垢金剛(りこうこんごう)」、「普化金剛(ふかこんごう)」、種字は「पं(paṃ)」、「स(sa)」、印相は虚心合掌して親指と薬指を中に入れてたもの、真言は「唵湿吠帝湿吠帝半拏羅縛悉儞莎呵(おんしばていしばていはんだらばしにそわか)」、「南麼三曼多勃馱喃怛他蘗多微灑也三婆吠鉢曇摩摩履儞莎訶(なもさんまんたぼだなんたたじゃたびしゃやさんばべいはんどんままりちそわか)」、三昧耶形は開敷蓮華。

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白傘蓋仏頂 びゃくさんがいぶっちょう

Sitātapatroṣṇīṣa

仏教において仏陀の頭頂の功徳を仏尊とした仏頂尊の一尊で五仏頂および八仏頂の一。サンスクリット名は「シタータパトローシュニーシャ(Sitātapatroṣṇīṣa)」といい「白い傘の肉髻」 といった意味がある。このことから「白傘蓋仏頂」という名のほか、「白傘仏頂(びやくさんぶっちょう)」、「白繖仏頂(びゃくさんぶっちょう)」などの名前でも呼ばれる。また「悉多他半怛羅烏瑟尼沙(しったたはんたらうしゅにしゃ)」と音写される。五仏頂の上首であり白浄の大慈悲をもって法界(あるがままの真理)を遍く覆う徳を持つ。胎蔵界曼荼羅において釈迦院下段右側一列目に配される。尊容は現図では五智冠を戴き左手に白傘蓋の乗った蓮華を持ち、右手は手のひらを向け胸の前に上げ半跏趺坐で坐す。

密号は「異相金剛(いそうこんごう)」、種字は「लां(lāṃ)」、印相は左手を開いて伏せ、右手の人差し指を立てて傘と傘の柄を真似るもの、真言は「曩莫三曼多沒馱喃藍悉怛多鉢怛羅鄔瑟尼沙娑婆賀(のうまくさんまんだぼたなんらんしったたはたらうしゅにしゃそわか)」、三昧耶形は傘蓋。

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百鬼夜行

ひゃっきやぎょう

日本において平安時代から知られる怪談で、夜中に様々な姿の妖怪が列をなして歩くもの。百鬼夜行を見かけたものは死んでしまうとされた。鎌倉中期の百科事典「拾芥抄(しゅうがいしょう)」によれば百鬼夜行が出現する日は決まっており(1,2月の子の日、3,4月の午の日、5,6月の巳の日、7,8月の戌の日、9,10月の未の日、11,12月の辰の日)、その日の夜は外出を控えたという。また、出会ったとしても尊勝陀羅尼を衣服に縫いこんであったり、ある呪文を唱えたりすれば助かるという。

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ビュグヴィル

Byggvir

北欧神話におけるヴァナ神族フレイの従者であり、相談役。フレイの腹心の友であり、主に対する忠誠心は熱い。俊敏な動きを自慢にする。フレイの耳に入ってしまうほどに小さく、耳元でささやいて助言を与えると言う。ビュグとは「大麦」を意味するため、元々は豊穣神フレイに仕える大麦の精霊だったと思われる。フレイはリョースアールヴ(光の妖精)の住みかであるアールヴヘイムの領主なので、ビュグヴィルもその妖精の一人と考えられる。

ビュグヴィルは石臼で麦粒を引く音やそれをついばむ鶏の声が人格化された存在でもあり、その落ち着きない喋り方をロキから嘲笑されている。またフレイを罵倒したロキに対して、「骨をひいて砕く」という石臼に関係する精霊らしい怒りの言葉を放っている。ビュグヴィルの妻ベイラもまたフレイの従者であり、その名前は「蜜蜂」を暗示している。ベイラはミード(蜜酒)を醸すときに必要とされる蜂蜜と、それを集める蜜蜂が人格化され、フレイの従者として位置付けられた存在だと思われる。

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ヒュミル

Hymir

北欧神話に登場する巨人(ヨツン)族の一人。名前は「暗き者」を意味する。アサ神族であるティウとティルの二神の父親だが、アサ神族に先祖を殺された憎悪を持っている。世界の東の果てに住んでおり、天空ほどもある巨大な酒瓶を持っているとされる。あるときアサ神族で大きな酒瓶が必要になったため、トール神がヒュミルに酒瓶を借りに行った。この時二人は力比べ釣りなど様々な勝負をするが、様々な伝承の多くでヒュミルは結局死に、酒瓶はアサ神族のものとなる(ヒュミルが快く酒瓶を渡したとする伝承もある)。

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被葉衣観音 ひようえかんのん

Parṇaśavarī

氷迦羅天 ひょうからてん

Piṅgala

仏教において天部(→)に属する神の一尊。サンスクリット名を「ピンガラ(Piṅgala)」といい、「氷掲羅(ひょうから)」、「氷誐羅(ひょうがら)」、「賓伽羅(ひんから)」、「畢里孕迦羅(ひりようから)」などと音写する。また別名を「愛子(あいし)」といい、鬼子母神が「愛子母(あいしも)」と呼ばれることがあるのはこのためである。「ピンガラ」は黄色や黄金色を指すが、漢訳では「青色」と訳される。鬼子母神の末子であり、悪鬼であった鬼子母神が改心するきっかけとなった。「氷掲羅天童子経」などに拠れば、施福守護の仏尊であり、一花一誦を十万回繰り返せば必ず来現し願いを満たしてくれるという。

金剛界曼荼羅の成身会などの外院南方(右側)に配される。像容は童子形で花葉に坐し、片手に吉祥果を持ち、片手は手のひらを向けて垂らす。

種字は「टि(ṭi)」、「ल(la)」、印相は虚心合掌、真言は「唵㨖苾㨖儞娑嚩訶(おんちしゅちにそわか)」、三昧耶形は火焔。

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秤宮 ひょうぐう

Tulā

密教の宿曜道における十二宮の一つ。サンスクリット名を「トゥラー(Tulā)」といい、秤(はかり)を意味することから秤宮、「秤量宮(ひょうりょうぐう)」、「天秤宮(てんびょうぐう)」、「秤量神主(ひょうりょうじんしゅ)」と訳すほか、音から「兜邏(とら)」とも呼ばれる。西洋占星術における天秤座にあたり、期間としては寒露から霜降に至るまで(9月から10月にかけて)を指す。また二十七宿の角宿亢宿氐宿にあたる。宝庫を司るとされ、胎蔵界曼荼羅では西方(下側)に秤の形ないし秤を持った人の姿で描かれる。

種字は「तु(tu)」、「श(śa)」、真言は「唵兜羅波多曳莎呵(おんとらはたえいそわか)」。

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兵主部

ひょうすべ

日本の九州地方に出現する河童の一種とも言われる妖怪。「ひょうすぼう(和歌山県日高郡、宮崎県東臼杵郡地方)」、「ひょすぼ(宮崎県西臼杵郡地方)」、「ひょうすんぼ(宮崎県地方)」、「ひょうすぼ」、「ひょうぼう」ともいう。夏の間は川にいて、秋になると山に入り、ヒョウヒョウと音を立てながら鳥のように山中を飛び回る。この音から「ひょうすべ」という名がついたという。頭はツルツルに禿げているがそれ以外は毛むくじゃらのサルのような姿をしていて、兵主部が風呂に入った後には湯舟に一面の毛が浮いているという。

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平等王 びょうどうおう

Píng-dĕng wáng

仏教や道教において地獄で審判を行うとされる十王の一人。百日の審判を司るとされ、「平等大王無上正度真君(びょうどうだいおうむじょうしょうどしんくん)」とも呼ばれる。阿鼻大地獄の主とされ、観音菩薩を本地とし、法衣と法冠を身に着け両手を組んで膝に置いた姿で表される。

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ヒラニヤカシプ

Hiraṇyakaśipu

ヒンドゥー教に登場する魔神でダイティヤの一人。名前は「黄金の座」を意味する。カシュヤパ・プラジャーパティーとディティーの間に生まれ、子供に「プラフラーダ(Prahlāda)」、兄弟に「ヒラニヤークシャ(Hiraṇyākṣa)」を持つ。ヒラニヤークシャとともに神に逆らい暴虐の限りを尽くしたため、ナラシンハ(人獅子)と化したヴィシュヌによって八つ裂きにされたしまったという。

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ヒラニヤガルパ

Hraṇyagarbha

インドの「リグ・ヴェーダ」の賛歌に説かれる世界創造の原因となる存在。「黄金の胎子」の意味で、太初に現われ万有の唯一なる主宰者となった。天地を安立し、山や海を生じ、神々の生気となり、神々及び生類を支配し世界の秩序を維持する。神々の上に立つ絶対的・超越的存在だとされる。

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ヒラニヤークシャ

Hiraṇyākṣa

ヒンドゥー教に登場する魔神。ダイティヤの一人でヒラニヤカシプの兄弟。名前は「黄金の目」を意味する。ブラフマーからの恩恵を受けていたおかげで強大な力を持っており、その力で神々を脅かしたが、野猪(ヴァラーハ)と化したヴィシュヌによって退治された。

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ビラフグヌールー

Birrahgnooloo

オーストラリア東部、ニューサウス・ウェールズのウィラデュリ人やカミラロイ人が信じる女神。「万物の父」たるバイアメの配偶神。人々に祈りに答えて洪水を起こすという。

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毘藍婆 びらんば

Vilambhā, Vilambā

仏教において普賢菩薩の眷属とされる十羅刹女の一人。サンスクリット名を「ヴィラムバー(Vilambhā, Vilambā)」といい、「離結(りけつ)」とも意味訳される。これは人を縛り離脱して殺害する羅刹女であったからだが、帰依したのちは煩悩を縛し離脱させる仏尊だとされる。本地は宝生如来とされ、両手に鉢を持ち天衣を纏った姿で表される。また別伝では三徳を秘蔵ずる意味をもって三角杵を手にするという。

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ピリーウィギン

Pillywiggin

イングランドの民間伝承に登場する花の妖精。妖精の中でもさらに小さな部類で、ブルーベルやカウスリップ、ジキタリス、ワイルドタイムといったオークの根元に生える小さな花の中に住んでいるとされる。

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ビル

Bil

北欧神話における時を司る女神、月の随伴者。元々は人間だったが、ミズガルズ(人間界)で泉から水をくんでいたところをマーニにさらわれ、その従者とされた。

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ビルヴィス

Bilwis

中世ドイツ、オーストリアに伝わる自然の精霊。「ピルヴィズ/ピルヴィッツ(Pilwiz)」、「ビメスシュナイダー(Bimesschneider)」、「ビルゼンシュニッター(Bilsenschnitter)」、「ボックシット(Bockschitt)」の名でも呼ばれる。元々は病気回復のために祈りを捧げられる木に棲む精霊だったが、後には農家の作物を台無しにする小悪魔のような存在とされた。人のヒゲや髪の毛をもつれさせて遊ぶという。人間のような姿だが大きな靴から隠し切れない鎌の刃をのぞかせた姿をしており、この鎌で野菜や稲などをずたずたにしてだいなしにする。

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水蛭子

ひるこ

日本神話における海の神。日本神話では「蛭子神(ひるこのかみ)」、或いは単に「蛭子(ひるこ)」、「蛭児(ひるこ)」として登場するが、民間では七福神の一人として「恵比寿(えびす)様」、「恵比寿神」、戎大神(えびすおおかみ)と呼ばれ親しまれている(蛭子、水蛭子と書いて「えびす」と読む場合もある→恵比寿)。語義は「ヒルのように体が不完全な子」といった意味だと考えられる。伊邪那岐命伊邪那美命の間に生まれた第一子だったが、生育が悪く、3歳になっても足が立たなかった。そのため両神は、葦船に乗せて蛭子神を海に流した。神話ではその後の水蛭子の事は語られていないが、海の彼方の常世の国に渡ったと考えられている。また西宮神社の伝説では、海に流された水蛭子は摂津国西の浦(兵庫県西宮)の海岸に流れ着き、土地の人々は拾った彼を「戎三郎様(えびすさぶろうさま)」と呼んで大事に養い育てたと伝えられている。

豊漁や航海の安全、交易の守護神であり、また商売を繁盛させて富と幸福をもたらす福神として信仰されている。

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毘盧遮那如来 びるしゃなにょらい

Vairocana

インド神話における「ヴァイローチャナ」が仏教に取り込まれたもの。「毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)」、「盧舎那(るしゃな)」、「遮那(しゃな)」などとも呼ばれる。またその神格から「遍照(へんじょう)」、「光明遍照(こうみょうへんじょう)」とも訳される。広大無辺の知を備え、仏教世界の中心に座するという。密教では毘盧遮那如来を発展させ、仏法の宇宙そのものを体現するとされる「マハーヴァイローチャナ(=大日如来)」として信仰される。

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ピルツィンテクートリ

Piltzintecuhtli

若い太陽神として登場するトナティウの若さの表象で、ショチピリの化身の一つでもある。アステカの9人からなる夜の神々ヨワルテウクティンの3番目。

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蛭の外道

ひるのげどう

日本の島根県に伝わる憑き物・外道の一種。蛭の外道を持つ憑き筋(家系)は「蛭の外道持ち」あるいは「蛭持ち」と呼ばれ、家庭が裕福になる。蛭の外道持ちは元旦の雑煮を食べない。なぜかというと元旦の雑煮は全部蛭と化すからだという(あるいは元旦の雑煮は必ず神棚にあげるとも。この場合も雑煮は蛭と化す)。こういった蛭の外道を分けてくれる神社が兵庫県にあったという。

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ヒル=メン

Hil-men

マン島の民間伝承における恐ろしい妖精。「ホグメン(Hogmen)」とも呼ばれる。マン島ではこの妖精を眺めるために果物を捧げる。毎年11月1日はヒル=メンが住処を移す日だとされている。

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飛廉 ひれん

Fei-Ren

陰陽家でいう方角神の一。この神のいる方角に向かっての土工・建築、または転居・婚儀を行うことを忌み、これを犯すと口舌・疾病その他の患いがあるという。子の年は申(西南西)方、丑の年は酉(西)方、というように、毎年所在の方角をかえ、一二年で一巡する。

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ヒロ

Hiro

イースター島で崇拝されている雨の神。イースター島には川や泉が無く、飲料水の源泉となるのは雨だけであった。このため雨の神であるヒロは非常に重要視された。雨はヒロが流す涙だと考えられており、人々はヒロに泣いてもらう為に祈祷をささげる。元々ヒロとは13世紀にタヒチにいた航海者の名前で、雨神ヒロと彼とは何らかの関連性があると見られる(しかしイースターとタヒチは3000kmは離れている)。

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ヒンツブヘト

Hintubuhet

ビスマーク諸島のニューアイルランド島における両性具有の神。男性の太陽でありオスの蝶である「タルマゴ(Talmago)」として、また女性の月でありメスの蝶である「ヘバ(Heba)」として崇拝されている。

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人形神

ひんながみ

日本の富山県礪波地方に伝わる憑き物の呪法。やり方は色々伝えられるが、例えば「七つの村の七つの墓から持ってきた土を人の血を使い捏ねて、自分の信じる神の形にし、人のよく通る場所に埋めて三千人に踏ませたもの」「三寸(約9cm)の人形を千体作り、全て一緒に鍋で煮て一個だけ浮かび上がったもの」などが人形神になる。こうして人形神を作り使役することを「人形神を祀る」と表現する。こうして出来た人形神は自由に動き、祀った者に自分のするべき用事を催促し続ける。このため人形神を祭る家は裕福になるとされる。ただ、人形神は死ぬまで離すことが出来ないし、祀る者は死ぬ時非常に苦しみ地獄に落ちるとされる。

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貧乏神

びんぼうがみ

日本における妖怪の一種。神という名がついているが、信仰する対象ではない。家に住み着いてその家を貧乏にしてしまうとされる。乞食坊主のような姿をし、老いさらばえて色青ざめ、破れた渋団扇を持って悲しそうな姿で現れるという。一度住み着くと数年間は去らない。怠け者の家が好きで、住み着くと家のものの福を吸い取るように貧乏神の体は次第に大きくなるという。江戸時代に書かれた随筆書「譚海」には貧乏神に住み着かれた人物の目撃談がある。それによれば貧乏神が目撃できたのはやってきた時と出て行った時の二回だけで、その間はろくなことがなく生活に困り果てたという。貧乏神は出て行く時に自分の正体を明かして出て行ったが、それから生活に困ることも無くなったという。また貧乏神に憑かれると貧乏になるにせよ、その他の災害には遭わなくなる、とする伝承もある。東京都文京区春日の北野神社(牛天神)には貧乏神を祭る祠があり、貧乏神でも丁重に祀れば福神と化すこともあるという。

貧乏神は(信仰する対象ではないにしても)曲りなりにも神なので、倒すことは出来ないが、追い払う方法や、やってこないようにする方法は存在するという。新潟では大晦日に囲炉裏で大火を焚くと貧乏神が怖がって逃げていき、代わりに暖かい場所が好きな小さい子供の姿をした福の神が囲炉裏にそばにやってくるという。弁財天の妹である黒闇天は人の功徳を消し災いを与える神とされるので貧乏神と同一視されることがある。

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